タイトル未定
ぶろさむん
第1話
「ん、、あー、寝ちゃったか」
図書室で中間テストの勉強をしていたはずが寝てしまってたらしい。
窓から入ってくる心地よい風と程よい気温が気持ちいい。
「もう帰るか、、ん?」
隣に気配を感じ見てみると、そこにはロングヘアーのゆるくカールがかかったふわふわな茶髪の女の子が机にうつ伏せになって寝ていた。髪がかかって顔があまり見えなくなっているが、よく見ると同じクラスの吉名みくという女の子だ。
え、なんで吉名がここで、しかも隣で寝てるんだ、、?
意味がわからない状況に少し戸惑いながら隣で気持ち良さそうに寝てる吉名を見ていることしかできない。
これは起こさない方がいいのか起こした方がいいのか、、
「うわっ」
迷っていると肘に筆箱がぶつかり盛大な音をたてて落ちていた
するとその音で起きたのか吉名の体がびくりとはね、のそのそと上半身を起こしている。
うわー起きちゃったよー、どうしよ、どんな反応をすればいいんだ。
目を擦ってまだ眠たそうにしているが、隣の俺を見た瞬間目を見開きみるみるうちに顔が赤くなっていく。
「ゆ、湯原司くんあの、その、勝手に隣で寝ててごめんなさい!もっと寝てたかったら寝てて大丈夫ですから!」
見るからに慌てている
「いや、もう充分寝たし大丈夫。あー、吉名さんもテスト勉強してたら寝ちゃってたみたいな感じ?」
と思ってテーブルの上を見たがそこには教科書もノートも筆記用具もない。これは単に寝にきたのか、、?
「そ、そうなんです!この課題をやってたら眠すぎて眠すぎてねちゃって、、あ、えっと、あの、、これはですね、、。」
テーブルに何もないことに気づいた吉名はまた慌てだしている。
本当になんでこんなとこで寝てたんだ、。
少しの間沈黙が続き最初に言葉を発したのは吉名だった。
「これは、その、、伝えた方がいいってことなんでしょうかね、、、」
少し落ち着きを取り戻し、何かを決心したのか吉名はそう呟いた。
そんな頬を赤らめて伝えたいことって、、、もしかしたら自惚れかもしれない、、自意識過剰なのかもしれない、、けど、、これ、、告白なのでは?!俺に?!吉名が?何処でそんな接点があったんだ?!同じクラスになったのは今回が初めてでまだ少し話しただけの関係だ。ま、まあ最後まで聞こう。
「すみません、、すこしだけお時間いた、いたたた、いただきたいのですがよろしいですか!ここで!」
「だ、大丈夫です」
明らかに緊張しまくって噛みまくっている。こっちも緊張が写ってしまう。
でも覚悟を決めたのかよしなは俺の目をしっかりと見て言い放った。
「あの、、私、、、、、すきなんです!!ゆばらしくんの、顔が!!!」
うわ!まじかー!本当に俺のこと好きだったんかーい!!
、、顔?
「顔が好きなの、、??俺の??」
いや俺がイケメンなら納得だよ。できるならイケメンって思いたいよ。でもさ本当に何というか、、あ、なんか見たことあるわーみたいな顔だよ?
いや待てよ、吉名の目には俺がイケメンに映ってるのか?それならたしかに好きになってもおかしくはない。いや〜まさかイケメンに見えてたなんてなあ。やっぱ人から見ればイケメンに見えるのかも
「ゆばらしくんの顔が好きなんです!!そのイケメンでも不細工でもないその中間地点の顔がドストライクなんです!パッチリではないけど切れ長の奥二重なのか一重なのかわからない目とか別に高くないけど特段低くもない鼻とかうっすい唇とか!そしてそのパーツにあった荒れてもいないし艶々でもない、ブルーベースよりの普通の肌!あーもう最高です!誰もが好きになるイケメンではないですが私にとって最高に好みの顔なんです!!」
「へ、へー。そーなんだー」
イケメンに写っていたわけではないことは分かった。
「そしてその顔が漂わせる害の無さそうな雰囲気!俺、女と付き合うより好きなことやってた方が楽しいし。みたいな自分の時間大切にしてあんまり女の子に関心無さそうなとことか、まさにタイプです。」
どういう先入観で俺を見てたんだよ。俺そんな雰囲気なのか?あーなるほどだから今まで彼女できなかったのか!なるほどなるほどあーそうだったのかあーそれはしょうがない
とにかくあまり褒められてるようには聞こえないが喜んではいいことだろう。好きになってくれたんだから。顔を。
「あの、、まあ、ありがとう、、」
「待ってください、なんですかその顔、初めて見ました。すきです」
やめて!ちょっと照れただけなのに真面目な顔して真剣に言われるとなんか一層恥ずかしい。
嬉しいのは嬉しいんだけどこの後どうすればいい?こんなことなかなかないし断るのももったいないような、というか断るとか断らないの話なのかこれ?もしそういうことでも好きでもないのに関係を持つのは失礼なような、、、
「あのさ、俺
「うわー!!分かってます!分かってます!こんな顔だけ好きなんて言ってくる女どうかと思いますよね!だから湯原司くんのこと色々知るために友達になってほしいんです!」
別に文句を言おうとしたわけじゃないけど、俺の言おうとしてたことを吉名は言ってくれた。顔だけど俺を好きになってくれた吉名のこといろいろ知りたい。
「うん。俺も吉名のこと知りたいから友達になってほしいって言おうとしたんだ。」
「え!女なんか無関心な顔で私のこと知りたいなんて、、!!すごく嬉しいです!!」
無関心なわけあるかい!男は女の子に興味津々で妄想膨らませては悶々しちゃう欲望むき出しの生物だぞ。
俺がそんな風に考えてるなんて微塵も思ってないと思い込んでいる吉名は涙目で嬉しそうに見つめてくる。その姿はすごく可愛くてなんだか危なっかしくて、やっぱり可愛く思えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます