暗躍する者→男爵令嬢編② 男爵に会えなかった私は…。
強引に右道に引きずられてしまった私は、案の定、男爵と会う機会を奪われてしまった。
私は、この邪魔なことをする者を敵者として、何とか出し抜こうとするのだが、今のところ全敗状態。
男爵との邂逅を阻止されたが、男爵の庶子であることには変わりはない。
いつ来ても大丈夫なように、前世等の記憶からの行動予測で動いていく。
なのに、敵者は先回りをする。
『ふふ。矯正は無理ですか。では、誘導に移りましょう』
何か、不穏な言葉が出てきた。
強制?
もしかすると、私が知らない2部以降のシナリオに沿ったエピソードなのか?
であれば、敵者はそのシナリオに沿わせるように行動していたことになる。
私は、そのときに発した“誘導”という言葉が、シナリオに沿うように動かしてくれると思い込んでいた。
実際は、違っていたと気がついたのは、ずいぶん後になってからだった。
敵者の言う通りの場所で、男爵と会った。
それからは、前回と若干違う形で事が進んでいく…と思っていた。
『それは、ダメ。倒錯』
「そ、そんなわけないわ」
この敵者。
私の行動にいちいち口を出してくる。
例えば、
貴族令嬢にふさわしいように、カーテシーで挨拶しようとすれば
『こっちだ』
と、行動も言葉も奪い
「こんにちは」
と、近所の狩人に挨拶するようなことをする。
ある時は、
マナーなどを学ばせるために呼ばれた家庭教師から逃げる。
前世の記憶から、また学ぶ必要がないのは確かだが、逃げるという行為が問題。
もちろん、自発的に逃げている訳ではない。
敵者に、強制的に引っ張られて、である。
行動を阻害され、行動も言葉も操られ、どうにかなってしまいそうだったが、なんとかここまで来た。
男爵家から、学園への編入も認められた。
…しかし、これも誘導の結果だとは思わなかった。
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