装備研究室長の私が自分の設計した戦艦の艦長をすることになったのだが、果たして研究室に戻れるのだろうか
のぶよし
いろいろ
第0.5話 新型イージス戦艦「きい」との初陣。(原案)
「方位032、距離56000に
艦内でビィーンビィーンと警報音が鳴り響いている。
「緊急水上戦闘配備」
「緊急水上戦闘配備ぃ!」
副長が復唱する。
ファーンファーンファーン・・・・・
海上戦闘はいつぶりだろうか。合戦用意と言ってからふと、考えてしまった。そうだ、8ヶ月ぶりだ、とその時
「敵全艦ミサイル発射!30秒で到達!!」
「あと30秒で到達!」
「なにっ!」
30秒は早い。そりゃあ冷静な乗組員でも驚くだろう。焦りがじわじわと伝わってくる。
相変わらず、目の前の無機質なレーダーは敵が先程の第1射で120発発射したという事実だけを示している。
「対空戦闘よーい」
「対空ぅー戦闘よーい!」
そう指示すると前方と後方にある17inch連装電磁砲(俗にいうレールガン)1番から5番がウィーン、とミサイルの方向に素早く向く。
「主砲発射準備終わりました」
よくもまあ優秀な人材がここに揃ったものだ、と感心してしまう。
人手不足というのは嘘だったのだろうか。・・・じゃあなぜ俺ここに飛ばされたんだ?
「主砲発射及びECM用意」
「ECM準備ーっ」
「主砲発射よーい、てーっ」
「撃ぇーっ!」
焦ってはいるが、手際はいい。発射した対空戦闘用の砲弾は目標の200m手前で子弾を展開、ミサイルをECMと共にどんどん落としていく。
しかし
「ミサイル23基、近づいてきます!」
「しっ、SHERAMは使用可能か!?」
「可能です!」「発射あ!!」
「発射!!」
23基はやばい。
あまりの数に俺も焦ってしまった。
この艦に装備されているSHERAM MK,Ⅱは外さない(自分が設計、改良したことによる過信)のでとりあえず安心できる、とフラグを立てたところで
「2基ぬけましたあっ!!」
「・・・・・・、総員衝撃に備え!」
あっさりとフラグ回収。俺のきいが、俺が創ったきいが・・・、と考えていた内に副長が指示を出す。
すっかり指示するのを忘れていた。この人周りがよく見えてる。頼り甲斐があるなあ。
・・・それにしても時間がゆっくりに感じるぞ。うーん、遅いな。まだかy
「左舷に被弾しました!しかし被害微小!」
・・・ん、揺れたか?全然揺れてない気がする。
「ダメージコントロール、損害報告。」
「はい、先程SHERAMで撃ち漏らした敵ミサイル2基が本艦左舷に命中。第1装甲に傷が付きました!」
なんでそんな笑ってるの?ていうかミサイルをほぼ無効化する位装甲厚くした記憶ないよ俺。
えっ、なんで?なんかすごく怖い。
「艦長、報復行動に移ります」
「おっ、おっけぇ」
ビビりつつもそう答える。
「主砲砲弾を対空用から対艦徹甲弾に変更」
「・・・変更終了しました」
「トライデントミサイル発射用意」
「・・・用意よし」
「主砲、及びトライデントによる報復奇襲作戦を実行する」
淡々と進んでいく。俺なんか居なくてもいいんじゃない?と思えてきた。何だか研究室が恋しい今日この頃。
「艦長、奇襲攻撃に入ります」
「はいはい」
「各自発射よーい」
「撃ぇーっ」
ドォンと艦が揺れる。トライデントってVLSだったよね?大丈夫かな?まー俺が創った艦だから問題ないかーと謎の自信が湧いてきた。
「トライデントミサイル30基の内6基命中。敵駆逐艦3隻、戦艦1隻撃沈確認。レーダーから消えます。」
「見張り員より報告、トライデントの破片を受けた駆逐艦1隻が黒煙を上げ速度低下。伍落します。」
トライデントを24も落とすか。これは侮れないな。
「続けて主砲、だんちゃーく、今!」
目の前がライトを間近で見たかのように光る。眩しい。そして目が痛い。
光が消えかけた時、突然ドォン、ブァァァァァンという衝撃が伝わってきた。そして艦がさっきより大きく揺れる。
「報告します!!敵戦艦4隻、巡洋艦3隻、駆逐艦4隻全て中央部に命中!そこから折れて撃沈しました!!」
おおっ!という声が所々から聞こえてくる。
---解説--------------------------------------------------------------
トライデントミサイル
対空、対艦、対潜用に作られたミサイル。通称、「神の矛」
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