【散文集】クラゲがおよぐ街
みかげ
煙草を吸う女は嫌いなんだよな
こんな日々が続けばいい。
だれかと何かでつながって
あったかい気持ちで居られたら、わたしはそれでいい。
世はまだ、結婚をするかしないか だなんて討論を繰り返す。
どちらかというと、結婚願望はあるのかもしれない。
それは養われるから安定する、とでも?愛される安堵感?
「女の子は仕事の将来とか気にしなくていいでしょ、どうせ結婚するし」
でもあいつは安定なんてしていないから、わたしの結婚は、わたしの大好きなあいつとではないなって、思った。
「結婚なんて制度だから、約束じゃないのよ。紙切れだけよ」
いつものお店で、ママがそういっていた。
ありがちなセリフが、こころに刺さる。
そしてママは続ける。
「だからね、あなたは紙切れ以上の気持ちを、まだ知らないのよ」
そうなのかもなあ
思い出してふと、あいつが吸っていたたばこの匂いを嗅ぎたくなって
ポケットから取り出したライターで、
わたしもそれを吸ってみる。吸ってすぐにむせた。わたしには受動喫煙くらいが丁度いい。
あいつ、銘柄とか変えたりしたのかな。
いま、あの小柄な背中をぎゅってしたらどんな香りがするんだろう。
もしかして、たばこなんて嫌われるから、とか言ってやめてたりして。
わたしは一つ、白くなるため息を吐く。
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