第4話 夢に出てくる謎の男「This Man」の正体

今回は一時期、ネットで話題沸騰した「This Man」の正体に迫ってみたいと思います。

まずは「This Man」って何?って人のためにおさらいです。

2006年1月。

ニューヨークの精神科の元に1人の女性患者が訪れました。

彼女の悩みの原因は、夢に出てくる1人の男。

彼女の夢に現れて、相談相手になってくれたりアドバイスをくれたりするというのです。

しかも、最近では予言めいたことを言ってくるようになったというのです。

彼女はその男の似顔絵を持って来ていました。

それがこの顔です。

別のある日、同じような相談をしてくる男性患者が現れました。

精神科医は、もしかしてと思い以前女性患者が持ってきた似顔絵を彼に見せたのです。

「This Man!」

まったく同じ男でした。

それからも、この夢の男にあったという患者は後を絶ちませんでした。

この夢の男「This Man」に会ったという患者はみな同じようなことを言います。

「相談に乗ってもらった。」

「サンタクロースのような恰好をしていた。」

「眼鏡をかけて、じっと私を見ていた。」

「幸せな気分になった。」

精神科医は、各国の精神科医に連絡を取り、同じような事例がないか確認しました。

すると、世界各国で2000人以上、同じような報告がされていたのです。

無意識の共有なのか?

人は無意識のうちに繋がっているのかもしれない。

そう考えてしまいます。

実際に、そう考える人も少なくありませんでした。


では、この「This Man」の正体とは何なのでしょうか?

実は、「This Man」には仕掛け人がいたのです。

イタリアの広告代理店「KOOK」のバイラルマーケティングだったのです。

つまり、情報が世界規模で広がることを実証するためのプロジェクトだったのです。

ニューヨークの精神科も存在していないし、女性患者も存在していません。

「This Man」の情報を広めるための公式サイトは、20億というアクセス数を叩きだしました。

プロジェクトは大成功したと言ってもいいでしょう。

いわば、世界規模でデマを流したらどこまで広がるのか試してみた。ということです。

「KOOK」という名の意味は、英語で「変人」。

「KOOK」の公式サイトには、確かに一癖も二癖もありそうなコンテンツがあり、独創的とも言えます。

今後も、世界規模の何かを仕掛けることもあるかもしれません。




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