第2話  呪われた家族

普通に日常を送っていたある日、一家の大黒柱である父親が、自宅から少し離れた物置小屋で焼身自殺をした。

原因は仕事がうまくいかなくなったから。

愛犬を抱き灯油をまいて火をつけた。

この事件の後、不思議な噂が流れた。

その物置は外から南京錠で鍵をかけるタイプだったのだが、火事になった時、外から南京錠がかかっていたという消防士の目撃情報があったというのだ。

家族の誰かが協力したのでは?そんな噂が流れ、残された母親と三人の娘は引っ越していった。

その後、その家からすすり泣きが聞こえた。

夜に明かりがついていた。

誰かの気配がする。などと言った不思議な噂が流れた。

月日がたち、家も新しく建て替えられ、新しい住人が住み、誰もが事件のことを忘れかけていたある日、隣町で1人の女性と赤ん坊が殺されたというニュースが流れた。

その女性は幸せな家庭を築いていたが、同窓会で偶然出会った元彼と不倫に走り、妊娠が発覚したのをきっかけに離婚。

元彼と結婚するつもりだったという。

しかし、元彼は結婚しておりそのつもりもなく、女性を絞殺。生れたばかりの赤ん坊は床にたたきつけて殺害したそうだ。

この犯人はすぐに捕まったが、殺された女性は、焼身自殺をした男の三女だった。これだけなら偶然と言えるかもしれない。

その事件後数か月もしないうちに、今度は同じ街の河川敷で一家心中事件が起こる。

夫の女癖の悪さと借金に悩んだ妻が、仕事帰りの夫を車で跳ね飛ばし、意識を失わせてから車に乗せ河川敷で練炭自殺を図った。

この事件の不可解なところは、車内に寝間着姿の大学生、高校生、小学生の子供も乗っていたこと。

母親が父親を跳ね飛ばしたとしても、大学生、高校生ともなればそう簡単に心中しようとは思わなかったはず。

しかし、遺体には抵抗した後もなく、死亡時間から父親を跳ね飛ばしたときに、車内に子供たちも乗っていた可能性があるとされた。

警察の捜査により、この事件は母親を被疑者死亡のまま送検して終わった。

この母親は、なんと焼身自殺した男の長女。

次女と母親は生存しているが、娘たちは結婚したにもかかわらず、父親が焼身自殺した現場から歩いて5分ほどのところに住んでいたのだ。

しかも、誰も居なくなったはずの長女の家は原因不明の出火により火事になった。

近所に住む次女が出火に気付き通報。

家の外観は少し黒くなっただけだったが、内部は黒焦げになっていた。

しかも、玄関にはしっかりと鍵がかかっていたという。

母親は幾度となく襲い掛かる悲劇に耐えきれなかったのか、認知症を発症しホームへ入居した。

今では、何も分からない状態だという。

生き残った次女も、家に引きこもっている状態。

父親の呪いなのか、愛犬の呪いなのか。

分かっているのは母親の実家にあたる家は、地元でも有名な犬神付きと呼ばれる家だったという事だけである。

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