ユリの花が咲く頃に~美しき二輪の花~

苺色 アリア

第1話 一輪の花~ダチュラ~

5月の下旬頃。

朝目が覚めると一階のリビングからお母さん達の声がする。


「うるせーんだよ!」

「嫌っ!やめてー!」


うるさい‥‥


怒鳴り声と泣きわめく声どっちもすごく耳障りでイライラする。

どうせあの男がまた来るんだ。

バンッと勢いよくあいたドアの方を見るとあの男が立っている。


あぁ、やっぱり。


「さやかぁ~」


私の名前を呼びながら上に股がって来る、あの男。


本当に汚い‥


私はあの男を見ながらつくづくそう思った。


「あ"?なんだ、その目は」

「なんでもない‥」


でも本当に汚いのは私だ‥‥

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