差しのべられる手

 どうも、精霊です。


 昨日の実験のために精霊の森が、っていうかあの三人が精霊の森に作った都市が崩壊したんだよね。

 元々は豊かな水と植物さえあれば良かったんだから、まぁゆっくり直しましょうとか思ってたんだよ。

 そしたらさぁ、聞いてくれる?!

 来たんだよ、人間の集団が!

 魔法で都市を直してくれるって!


 もう幸せだわ。

 やっぱり人間はいいよね。他の種族じゃあ、こうはならないもんね。

「災難だったね」って笑われるのが目に見えてるもんね。

 どの種族よりも脆くて寿命が短いのに、なんだろうね、人間は。

 本当に愛おしいね。


 キングは自分のせいだと思ってるのか、シュンとして龍の奥さんに連れて帰られたよ。

 可哀想だから「お前のせいじゃないよ」って言ったら余計に懐かれちゃった。

 まぁ、いっか。


 そんで人間たち、仕事が早いわ。

 前より立派な都市ができてきてるもんね。

 なんかね、自然そのままの形の中に快適な住居を組み込む感じで造るんだってさ。

 この森の草木は基本的に大きいから、枝の上とか花の上とかかな?

 この前みたいに巨木の中かな?

 どっちにしても楽しみ!

 俺は水の精霊だから使える力も水系統だし、あんまり役には立たないんだけどね。

 知らなかったけど、俺が喜ぶと祝福が起きるんだって。

 体や心の疲れが少し癒される程度らしいけどね。

「なので側にいてくださったらそれだけで宜しいんですよ」なんて言っちゃってさぁ!

 本当、このまま幸せが続くよね。

 いいわぁ。


 人間たちは精霊の森の魔力を使い果たさないように、何日かに分けてしっかり造るって!

 その間は精霊の森にいるみたいだから、もっと仲良くなれるかな。


 いつかもう少し砕けた感じで、はーいなんて手を振ってくれたりなんかして、頭なんて撫でてくれないかなぁ。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る