異世界転生を願ったら、少年が転生してきた件
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第1話
この世界はつまらない
別に特殊能力が使えるわけじゃないし
何をしたって面白くない
努力したって才能に抜かされる
大人たちはみんな同じことばかり言う
まわりの友達は仲良しに見えるが
うわべだけで裏で悪口ばかり言ってる
宿題をしていた手を止め窓から外を眺める
今日ずっと好きだった女の子に告白した
結果はお察しの通りだった
「はあー」
おもわずため息が漏れる
ここ最近不運な事が続いている
そして夜空を見てつぶやいた
財布は落とすし、階段ではこけるし、
友達に漫画を貸したら破っちゃうし
テストで答をかく欄をずらしちゃうし、
散々だった、夜空を見てつぶやく
「…こんなんだったら異世界に転生したい」
一生分の運を使いきってもいいから、
奇跡が起きて欲しいと思った
こんな世界は嫌だった
もし神様がいるんだったら
少しは願いを聞いてくれてもいいだろう
その時だった
急に俺の部屋が光に包まれた
見ると部屋の真ん中に魔方陣が浮いていた
驚いた。ありえないと思った。
だけど確かにそこにあった
心拍数が上がっていくのがわかる
「この中に入れば…」
覚悟を決めて魔方陣に足を伸ばす
またしてもその時だった
魔方陣から手が出てきた
「えっ」
驚いておもわず後ずさりする
手から腕、頭、胴と全身が出てくる
少年だった
黒髪の少年がそこに立っていた
そして少年は辺りを見回しこう言った
「やった!転生は成功だ!」
そして俺の方を見て話かけて言った
「驚かしてごめんなさい!
ねえねえあなたの名前は?ここはどこ?」
俺は下を向いた色んな気持ちがあった
少年の言葉は聞いていなかった
そして一言、言葉がもれた
「そっちかよ…」
異世界転生するんじゃない
異世界転生された
「なんだよ、クソゲーかよ」
確かにありえないことは起こった
でもこれじゃない!
俺の考えてたのはこれじゃない!
っていうかせめて女にしろよ!
どうして男なんだよ!
いろいろ思っているうちにむなしくなった
とりあえずもうどうしようもない
深呼吸をして少年に話しかける
「えーと、俺は高宮 勝、君の名前は?」
「僕はタッキ!」
元気な声で少年は返事をした
すると、
「ちょっと勝ー?他に誰かいるのー?」
母の声が聞こえる
「まずい…」
焦るこの少年を見られたら何て言えば良い?
異世界から転生してきたなんて言ったら
絶対頭おかしいと思われる!
母が階段を上ってくる音がする
急いで押入れを開ける
「すまん!えーとタッキ…?悪いがここに
隠れててくれ!」
「んー?わかった!」
「あと、俺が良いって言うまで
静かにしててくれ!」
「おっけー」
少し声を小さくして少年は言った
「よし!良い子だ」
押入れの戸を閉め、椅子に座り、
さも宿題してました感を演出する
部屋のドアが開いた
「ちょっと勝!」
「んーなにー?」
「あれ、別に何も無いわね…」
「どうしたんだよ、母さん」
「いや、別に、気のせいだったみたい」
そう言って母は出ていった
階段を下りた音を聞いて一安心した
「あぶねー!」
そして押入れのとを開ける
「タッキ、もうでていいぞ」
少年がひょこっと顔を出す
「ここ、良い!すごく安心感ある!
僕ここに住みたい!」
転生少年は笑顔でそう言った
なんとなくこうなるとは思った、最悪だ
「どうしてこうなるんだよ…」
やっぱり俺はこの世界が嫌いだ
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