第27話 予定

 さっきから。

 じーっと、日高が見つめていて。

「何?」

「はるちゃんさ、最近、ずっとショートだよね」

「うん。伸びても肩までだね」

「祥子さんの趣味なの?」

「まさか」

 そう言って、ソファに移動した。

 うつ伏せになって、本を読んでいると、腰の近くに、日高が座って、もたれかかって来た。

「重いー」

「ねー、はるは、私が髪長い方がいい?」

「え?」

 体をちょっと仰向けて、日高を見た。

「そーいや、日高はずっと髪長いよね」

「うん。どっちがいい?」

「んー、長い方がいいかなあ。短いの、想像出来ないし」

「そっか」

「うん」

「でさ、今年のクリスマスなんだけどさ」

「うん」

 はるは、またうつ伏せになって本を開いた。

「一緒に過ごせる?」

「いいよ」

 はるの言葉に。

ざつぅー」

 って。

 背後から、日高が抱きしめた。

「重いからー」

 はるも笑って。

「でも、私はここんとこ、大学か、祥子さんとこしか行かないけど、日高はドラマまた始まるし、一度太一君に聞いてみたら?」

「クリスマスくらい入れないっしょ」



「ロケですよ」

 太一は言った。

「えー、何でぇー」

「特番の、パジャマ警察が入ってますね。秋田でロケです」

「泊まりなの?」

「はい」

「ほらあ」

 って、はるは笑った。

「日高、全然自覚ないけど、超売れっ子なんだよ」

「そうだぞー、抱きたい女優第一位だからな」

 社長が言うと、

「ちなみに抱かれたい男優第七位に、はるちゃん入ってましたよね」

 と、太一。

「何それ、はる、すごいじゃん」

(抱かれたい男優って)

「えー、抱かれたぁーい」

 そんなこんなで。

 クリスマスは、おあずけになった。

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