第3話 デート

 関君にお願いして。

 はると、日高は、水族館に来ていた。

「次、日高、ドラマやるんだよね」

「うん。女子高生役だって」

「えっ」

 思わず、はるは日高を見た。

「ねー」

 悪戯いたずらっぽく、日高は笑った。

 平日の。

 お客さんの少ない水族館では。

 はると日高に気づく人もいなくて。

 イルカショーまで観て。

 一般の、普通のデートを、二人は楽しんだ。


 お土産に。

 関君に4LのTシャツをそれぞれ選んであげると。

「わー、本当に嬉しいなあ。大きいTシャツ、全然売ってないんですよー。来て良かったなー」

 って。

 巨漢の関君は本当に喜んでくれた。

「関君、結局、ケーキ、いくつ食べたの?」

 日高が尋ねた。

「ちょっと太りぎみだから、九個にしました。厳選して。あ、シュークリーム、僕も二人に買いましたから、良かったら」

 助手席から、紙袋を取って。

「わー関君、大好きー」

 日高もはるも大喜びで。

 車窓から流れていく景色は。

 空が青くて。

 平日の、穏やかな時間を、ゆっくりまとっていた。


 やがて。

 関君は、二人をマンション前で降ろすと。

「じゃ、はるさん、明日十時に迎えに来ますから」

 一礼して、事務所に戻って行った。

「ねえ」

 エレベーターが動き出した時だった。

 ふいに。

 日高が真顔になった。

「何」

「今日、はるのとこ、泊まっていい?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る