あるフェレットとわたし

小道けいな

第1話 わたしとフェレット

 わたしは比較的都会の住宅街にある集合住宅に住んでいる。


 一階ではベランダから庭に出ることができるのだ。わたしは適度に手入れをして、草木を楽しむことができる。


 時々、ネコやイタチが通ることもある。後者はあまり通らないが、イタチぽい姿を見たというのは近所で聞いた。

 タヌキやハクビシンだろうとされている。ただ、ちょっと胴体が長いという印象があるらしい。


 ハクビシンもどちらかと言えば長いかもしれない。

 大抵見かけるのが夜な上、それらは動き回るため、判断は難しいようだった。

 爪の跡や糞の状況からハクビシンかもといわれている。


 何にせよ、庭の植木に被害は起こっていなかったし、住んでいるところで被害もなかった。


 だから、あまり気にしていなかった。

 自然が合ってよいな、という程度。


 わたしはフェレトを飼った。

 イタチの一種で、ペットとなっている生き物。


 にょろーんと胴体が長く足が短い。穴にいる動物を追い出すためにいたとか。狩猟で使われたいとか、噂は聞いた。


 ともかく、フェレットは緩急もって生活を送る。


 ケージの中にいる間はご飯を食べ、水を飲み、眠り……と過ごす。時々、こちらをうかがい、出してもらえるのか、何か変わったことがないか見ている気がした。


 部屋に放して遊ばせるときは、部屋の隙間に入らないか、高いところに登って落ちないかなど気を配らないとならない。

 捕まえようとしてもすばしっこい。


 結構、用心がいる。


 会社に行って帰るだけ、という日々が楽しくなった。

 家に帰るとヒルカがいるのだ。


 ヒルカにはわたししかいない。多頭飼いするにはお金もないし、時間も足りない。

 一匹だと寂しいのかなと思うからこそ、一緒にいるときは思いっきり遊んであげるのだ。


 ひょっとしたら、遊んでもらっているのかもしれないけれど?

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