第24話
「ヴラド。
この後はどうする心算だ」
「まあ、そう慌てな、レオ。
お前の孫、カイが戻ってから、花が光り輝いているではないか」
「それは俺が言ったことだろうが。
月乙女が幸せでなければ、そもそも花が咲かんから、まず花が咲くように、幸せになってから考えようと」
吸血鬼ヴラド大公と狼男レオは、闇の眷属代表として、月乙女をどう護るか話し合っていた。
とにかく花はどうしても必要だ。
花から作った薬を一族の末端まで行き渡らせるには、毎日花を咲かしていただく必要があった。
大きな庭園を確保したから、新しく植えた花が咲き出したら、しばらく余裕が出来るのだが、今はまだ全然予備がなかった。
そこで仕方なく、子供は生まれないが、カイをスミス伯爵邸に戻し、アリスに幸せになってもらう事にした。
それが功を奏したのだ。
だが一番大切な事は、次代を引き継ぐ月乙女を産み育てる事だ。
その為には、アリスに産んでもらうか、オリバーに頑張ってもらうしかない。
魔眼が使えるのならば、オリバーを操って幾らでも性交させられるのだが、残念ながら月乙女の血統に効果がない。
だから百花繚乱の侍女を送り込んでいた。
衣装に工夫を凝らし、後遺症の残らない媚薬も使い、百戦錬磨の性奴隷上りの侍女が技量の限りを尽くし、オリバー卿をその気にさせた。
努力のかいもあって、性交自体は成功した。
問題は子種だった。
アリスが産まれているから、昔子種があったのは確かだ。
問題は今も子種があるかなのだが……。
「レオ。
また婚約話を勧めたいのだが、アリスはそう思うかな?」
「そうだな。
今はまだカイと結ばれていないからな。
貴族と契りを結び、子供さえ産めば、カイと契りを結べると言えば、婚約を受け入れるのではないかな」
「レオがそう言うのなら、花を作りつつ、子孫を残す事が可能なのだな?!」
「待ってくれ。
あくまでも予想だ予想。
人の気持ちなど分からん。
まして人間の女の気持ちだ。
どう揺れ動くかなど予想できるものか!」
「そうだな。
女心を理解するなど不可能だな」
「ああ。
頭で理解して、納得して始めた事が、現実になったら我慢出来なくなる事など、腐るほどある」
「そうだな。
だが何もしない訳にはいかん。
とにかくさっきの条件で婚約話を進めて、それで花が咲かなくなったら、また婚約を破棄させればいい」
「そうだな。
ヴラドの言う通りだ。
花を咲かせながら、アリスに子供を産んでもらう。
なあ、本当にいい男はいなか?
アリスがカイを忘れるくらいのいい男だ!」
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