第21話
私はレアラ様の側を離れたくありませんでした。
レアラ様は私を労わって、後方に残るように言って下さいましたが、ただ夫を案じるだけの妻にはなりたくありません。
共に轡を並べて戦える妻でありたいのです。
拷問や晒しの現場は、流石に宿っているかもしれない子供の胎教に悪いので、耳を塞ぎ目を閉じていましたが、凄惨なモノでした。
王太子と側近貴族は丸裸にされ、高い木の上に釘付けにされ、遠くからでも見られるように晒し者にされました。
王太子軍が侵攻してきた土地を逆に進み、彼らが行った悪行に応じて罰が下されたのです。
多くの貴族や士族が、私達の前にやってきて、忠誠を使うから領地を安堵して欲しと言ってきました。
ですが、レアラ様は許されませんでした。
私達が領地に帰り着くまでに、多くの貴族士族の調査をなさっていたそうです。
貴族士族の誇りを持ち、民と領地を預けるのにふさわしい者を探したのだそうです。
ですが、そのような貴族士族は極少数だったそうです。
残念な事です。
ですが、全ての貴族士族とその家臣を殺し尽くすわけにはいきません。
そんな事をすれば、多くの手間と時間がかかってしまいます。
そこで、大魔境での活躍次第で、領地を安堵すると言う条件を出されました。
同時に、命の惜しい者は、領地を捨てて逃げればいいとも申されました。
腕の覚えのある陪臣士族と徒士は残りましたが、ほとんどの貴族と士族は逃げ出してしまいました。
大魔境で魔獣相手に戦うのが怖かったのでしょう。
日頃全く鍛えていないので、生き残れるとは思えなかったのでしょう。
逃げ出した貴族士族は、莫大な金銀財宝を持ち出そうとしました。
ですがレアラ様はそのような真似を許されませんでした。
領地から搾り取った財産です。
領民の為に使わなければいけません。
こんな時の為に、レアラ様はジェダ辺境伯領から沢山の勘定上手を連れてきておられました。
その者を代官に任じて、領主の悪政で疲弊した領地の再生をなされる心算なのです。
微力ながら、私もその御手伝いをさせて頂きます。
レアラ様は軍を王都には向けられず、時間をかけて四辺の貴族士族領の討伐に向かわれました。
貴族士族を追放し、領民の慰撫を重視されたのです。
王都から先に攻撃すると、貴族士族にむりやり動員された、領民まで殺してしまうことになるからです。
最初からその心算で、莫大な兵糧を用意されておられたのです。
魔境で獲れる魔獣は栄養価が高く、少量食べただけで十分戦うことが出来ます。
そうして領民を慰撫しているうちに、王都から使者がやってきたのです。
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