第14話

「グレアム様!

 御会いしとうございました!」


「シンデレラ嬢!

 どうやってここに?!」


「義理の叔父に送って頂きました」


「義理の叔父?

 シンデレラ嬢に父上以外の血縁はおられないと聞いていたが?」


 私は全てを正直に話しました。

 バルトロと言う自称義叔父の家に、二人きりで夜を過ごした事もです。

 グレアム様に嘘などつけません。

 たとえその為に婚約を破棄されようとも、嘘をついて幸せを手に入れる事など出来ません!


 ですがグレアム様は許してくださいました。

 本当に私の義叔父かどうかも分からない男と一泊したのに、むしろ私の身が無事であったことを喜んでくださいました。

 私は果報者です。


「バルトロ殿。

 シンデレラ嬢の話では、貴殿は強力な魔法使いと聞く。

 勝手を言って申し訳ないが、シンデレラ嬢を助けるために助力願えないだろうか?」


「助力?

 なにをしろと言われるのか?」


「私をザンピエ公爵家に連れて行って欲しい」


「奇襲をかけると言われるのか?

 だがいくら私の魔法が強力でも、一度運べる人数は一〇人までだ。

 とてもグレアム殿の配下全ては運べん」


「いや、私一人でいい。

 配下を動かせば、隣国に隙を見せることになる。

 それでは民を裏切る事になる」


「だが、グレアム殿がここを離れると言うのは、将軍の任務を放棄することになるのではないか?

 それでいいのか?」


「構わない。

 王太子殿下には、くれぐれもシンデレラ嬢の事を頼むと、何度も頼んでおいた。

 王家を辞して、シンデレラ嬢を連れて国を出ると言った俺に、『どうしても頼む』、『シンデレラ嬢の事は王太子の名誉にかけて護り切る』そう王太子殿下が言ったからだ」


「そうだったのか。

 シンデレラ嬢の婚約者にしては酷薄だと、憎く思っていたのだが、そうではなかったのだな。

 ならばなおの事下手な手助けは出来んな。

 グレアム殿に万が一のことがあったら、シンデレラ嬢に申し訳が立たん」


「だがそう言われても。

 王太子とザンピエ公爵を残して国を出たら、追っ手が放たれるだろう。

 いかに私でも、何も縁も所縁もない国で、シンデレラ嬢を護りながら追っ手と戦うのは難しい。

 今ならザンピエ公爵も油断しているだろうから、単身乗り込んで皆殺しにしてやろうと思うのだ」


「随分とザンピエ公爵を怨んでいるようだが、まあ、シンデレラ嬢の事を思えば当然か。

 だが王太子の方はどうする。

 味方だったグレアム殿が裏切ったと、追っ手を差し向けるのではないか?」


「ザンピエ公爵を上手く皆殺しに出来れば、王太子も私達に手出しする事を躊躇うと思うのだが?」


「ふむ。

 確かにその通りだな。

 だがそれにはもう一工夫必要だな」


「もう一工夫とは?」

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