シンデレラは婚約破棄させられるそうです。
克全
第1話
シンデレラは凍り付きそうな冷たい水で、屋敷の拭き掃除をさせられていた。
本来なら子爵家の嫡女であるのだが、今は使用人以下の扱いを受けていた。
後妻に入った義母と、その連れ子の義妹がシンデレラを苛め抜くのだ。
ろくに食事を与えず、餓死させようとしていた。
全てはシンデレラの父親であるアブラーモ子爵が無能だったせいだ。
いや、ボニファ公爵の謀略に落ちたのだ。
ボニファ公爵は後妻の兄だった。
アモロ子爵家を乗っ取りたいボニファ公爵が、アブラーモ子爵が借金漬けになるように罠を仕掛けたのだ。
借金漬けにして、アモロ子爵家に妹を後妻に押し込んだのだ。
アブラーモ子爵に断る事など出来なかった。
全ての借財の名義が、いつの間にか全てボニファ公爵となっていた。
相手は王家に連なる名門公爵だ。
逆らう事など不可能だった。
泣く泣くアーダと言う名の公爵妹を後妻に迎えた。
アーダには三人の連れ子がいた。
ビアータと言う16歳の娘。
ベアンカと言う15歳の娘。
カミッラと言う13歳の娘。
皆性格が悪かった。
しかも彼らだけではなく、執事や侍女までザンピエ公爵家から連れて来たのだ。
当然昔からアモロ子爵家に仕える譜代家臣が解雇された。
一時金も退職金も与えられず解雇された。
これでシンデレラを庇う者は一人もいなくなった。
父親であるアブラーモ子爵は後妻の言いなりになっていた。
アーダと三人の義妹は、事故に見せかけてシンデレラを殺そうとした。
何度も何度も殺そうとした。
だが全て失敗に終わった。
信じられないような幸運が続いたのだ。
事故を仕掛けた場所に、シンデレラの婚約者であるグレアムが、信じられないタイミングで現れるのだ。
グレアムは王国無双の双剣騎士で、元々は騎士家の次男だった。
本来なら兄の厄介者になる所を、数々の武勲を立て、実力で騎士に取り立てられ、今では将軍の一人に任じられていた。
一九〇センチメートルの長身に、実戦と訓練で鍛え上げた筋骨隆々の身体。
菜の花色の肌は艶やかで、軽くウェーブした山吹色の髪とよく合っていた。
そして金色の瞳に見つめられると、女ばかりか男も魅了されると評判だった。
そんな彼が、アーダ達の悪事に気が付き、シンデレラを護ろうと始終アモロ子爵家を訪れるようになった。
シンデレラの命を最優先する為に、婿入りではなく、妻に迎えるとまで譲歩した。
だがそれも許されなかった。
何故ならビアータがグレアムに横恋慕したのだ。
それからはアーダ達の虐めが更に激烈になった。
グレアムの助力が届かなくなるように、ボニファ公爵の権力を使って、グレアムの任地を国境の遠地に変更までした。
いよいよアーダ達の魔の手がシンデレラの首を絞めようとしていた。
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