第52話
なるほど、そういうことでしたか。
ドレイク王国の内部情報は掴みきれていませんでしたが、王子の間に王位継承争いがあるようです。
しかもそれに、第三王子ヒルメスの生母が強い影響力を持っているようです。
ヒルメスの母親という事は、結構歳を重ねているはずですが、それでも国王の寵愛を得ているというのでしょうか?
それとも実家の勢力が強いのでしょうか?
早期に情報を集める必要がありますね。
「何を言われる!
側妃にそのような決定権はありません。
国王陛下は絶対の権力を御持ちで、全ての決定を自ら行っておられるのです。
妻妾の言に左右されるようなことはありません!
ヒルメス殿下!
実子の王子であろうと、国王陛下の王権を貶めるような発言は許されませんぞ!
今の発言を撤回し、摂政殿下に対する数々の暴言をお詫びしなさい!
摂政殿下はホワイト王国の王太女でおられるのですよ。
一介の王子であるヒルメス殿下が対等の口を利いてい方ではないのです!
このような愚かな発言を繰り返しては、臣下の信頼を勝ち取れませんぞ!」
「くぅ!
おのれ!
たかだか公爵の分際で、余に諫言しようというのか!」
嫌な話ですが、これは私にとって好機ですね。
余程の馬鹿でない限り、ヒルメスがここまで強気に出られるのは、ドレイク王国内での王位継承争いを優位に進められているからでしょう。
兄である第一王子や第二王子、第四王子以下の弟達よりも、王太子に近いのでしょうが、絶対というところまでは行っていない。
王太子の地位を絶対にするには、形だけでも手柄が必要なのでしょう。
ですがここで、大きな失態を犯せば、第一王子や第二王子が復権して、ドレイク王国内で争いが起こる可能性があります。
それが激しくなれば、内乱に発展する可能性もあります。
王子同士が争い殺し合い、共倒れになってくれれば、ホワイト王国の南は安全になります。
いえ、安全になるだけではありません。
私の夫であるハンザに王位が回ってくる可能性があります。
ハンザが王位につけなくても、私とハンザの子供を連合王国の王に戴冠させようという動きが起こるかもしれません。
少なくともその布石は打っておくべきでしょう。
元々私にはハンザに対する愛情など欠片もありません。
王家王国のため、民を戦乱に巻き込まないように、政略として結婚しただけです。
もし王家王国が追い詰められるような事があれば、政略で婚姻を続けるか離婚するかの判断も下さなければいけません。
ハンザの母国に内乱の種をまくことくらい、やってのけなければいけません。
苦い薬を飲む気持ちで、やらなければなりません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます