第34話
「トマスはゲラン王国とマイヤー王国に対しては中立を守りつつ、ズダレフ王国を危険視している、ミルドレッド王国と縁を結ぶべきだと考えているのですか?」
「はい。
しかしそれだけでは不足でございます。
ミルドレッド王国だけでなく、ドレイク王国とも縁を結ぶべくかと考えます」
「一方は私の婿を迎え、一方は陛下の側室を迎えるという事ですか?」
「はい。
王位継承問題に干渉してくる可能性がありますが、侵略に対抗するには仕方ありません。
危険を冒してでも、縁を結べれるべきでございます」
さて、ペラム伯爵家の基本方針はどちらなのでしょうか?
私にドレイク王国から婿を迎えさせ、宰相の地位を目指しているのでしょうか?
それとも、陛下にドレイク王国から側室を送り、新たに王子を生ませて後見人となり、権力を握る心算でしょうか。
最悪の場合は、ドレイク王国と縁を結ばせてから父上と私を暗殺して、自分が絶対的な権力者になろうとしている可能性もありますね。
「ドレイク王国の担当貴族として、私に婿を取らせたいのですか?
それとも父王陛下に側室を勧めたいのですか?」
「ホワイト王国の貴族として、ドレイク王国の担当貴族として、私心なく答えさせていただきます。
それはミルドレッド王国次第でございます。
我が国にとってミルドレッド王国との同盟は、存亡にかかわる一大事でございます。
ミルドレッド王国が同盟の条件として姫様の婿を望むのなら、臣は命を賭してドレイク王国に陛下の側室を願い出ましょう。
ミルドレッド王国が同盟の条件として陛下に側室を送るのを望むのなら、臣は命を賭してドレイク王国に姫様の婿を願い出ましょう」
トマスの答えは、家臣として百点満点ですが、心から信じていいかどうかは、まだ分かりません。
ですが私の考えに近いのは確かです。
ですが他の方法もあります。
「ではこれはどうですか?
私が前王家のベイリー王家から婿を迎えて、国内貴族の結束を図り、ミルドレッド王国とドレイク王国の両王家から父王陛下の側室を求めると言うのは?」
「確かにその方法なら、国内貴族の結束は多少なりとも強くなるでしょう。
ですがその方法では、ミルドレッド王国とドレイク王国の両国から信義を疑われます」
「確かにその通りですね。
ですがそれを口にするのなら、片方からは婿を取り、もう一方からは側室を迎えると言うのも、信義に欠けるのではありませんか?」
「はい、通常ならそうです。
ですが今回は特別です」
「何が特別だと言うのですか?
トマスの考えを詳細に話してください」
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