第27話 それは亡き星の輝き

 星詠み、というスキルがある。予知、予測系のスキルであり、天体を観測することで自分の今後の運勢を占う、という効果がある。

 あらゆるものが電子あるいは量子で形作られた世界で占いというのもおかしな話だが、実際に効果はある。


 メタフィクションな話をすれば占いの結果がこの世界ソレイユを統括する量子コンピュータ「SORA」によってはじき出された演算結果だからだ。ラプラスの悪魔とも言うべきその演算能力を駆使すればある程度の未来の予知は容易だ。


 必ずしも吉兆をもたらすことはないその星々の輝きはまさしく天啓であり、どうじに天罰だった。ただ常に運営し続ける0と1の数字の点滅が己の運命を決める、と思うのではなく星々が運命を決めると思ったほうがよほどロマンチックであり、不条理を受け入れやすい。


 ――そして今彼を指し示した星は吉兆だった。何を占ったかなど聞くだけ無駄だろう。


 ただただ彼の願いの成就は可能か、それだけのことなのだから。


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