俺達は海へ! その3

 俺が海から出た後、ビーチバレーをする事になり、美優さんがジャンプするたびに愛染が鼻血を吹き出していた。その度に桃白と夏樹と足塚先輩が呆れた顔をしていた。


 そして昼時になり、バーベキューをする事になった。


 肉を焼いていると美優さんが俺の方へ近づいて来る。


「どう?楽しい?」

「はい。楽しいです。潜るのもビーチバレーも全部初めての経験で本当に来て良かったと思います。」

「そう。よかったね。」

「はい。本当によかったです。」

「……所でこの中に好きな子はいないの?」

「ぶふっ!!いきなり何ですか!?」

「その反応……いるね?」


 美優さんはにやけながら俺の体をつんつんついてくる。


「い、いませんよ。さっきのはいきなりの事でびっくりしただけですよ。」

「本当かなー?」


 そう言い、美優さんは雪野先輩を呼んできた。


 さすが美優先輩の妹とも思える豊満な胸。腰の辺りに黄色い布みたいなのを巻いている。


「架凛。もっちんてこの中の誰が好きか知ってる?」

「いっ!?」


 まずい!雪野先輩には俺の記憶喪失の事とあの体育祭の事も話してる。つまり、俺が香織が好きって事も知ってる。うっかり話してしまう前になんとかしないと!


「さぁ?知らないよ。」

「えっ……」


 雪野先輩が嘘をついた。俺のために嘘をついてくれたのか?


「そっか……本当にいないのね。」

「い、言ってるじゃないですか……」 


 ここで、ようやく美優さんの詮索は終了した。



 ***


 バーベキューも終わり、再び海へ飛び込んだ。


「ひゃっふーー!!」


 声を上げ大声で飛び込み、すぐに尻が底についた。

 浮上し、ビーチを見ると、桃白、夏樹が歩いて海に向かって来ている。



 愛染も遅れて走りながらこっちへ向かって来ている。



 ………あれ?あいつ、海じゃなくて俺に向かってきてね?



 走ってきた愛染にラリアット気味の攻撃をくらい、海に頭から叩きつけられる。


「痛ってーーー!?愛染!やりやがったな!?」

「おぉっ?来いよ。返り討ちにしてやるよ。」


 愛染にやられぱなしなのは許せない。

 愛染に水をかけ、目潰しをした後、間合いを詰め、さっきされた事と同じ事をする。


「ぐわっ!」

「しゃあああああーーーーっ!!」


 愛染を倒し、大きくガッツポーズを取っていると後ろから衝撃が来た。


「うわっ!」


 誰かが押した。それが誰かわからずに顔から水に叩きつけられる。


 痛い。痛いよ。流石に不意打ちはせこくないですか?


 顔を上げ、誰がやったか確認する。


「……桃白かぁー!?」


 手を握り、水を叩きつける。

 勢いよく水が桃白の方へ飛んでいく。


「きゃっ!?」


 手で顔を防いでいるが、体全体に水がかかっていた。


「おっ……」


 桃白の体や髪が濡れる。髪は水が染み込んで艶が出て、色気が増した。女子と海。まじエロス。


 俺が見惚れていると下から何かに捕まれ、そのまま引きずられ、水の中へ誘われる。


 見ると、愛染が俺の足を掴み、嫌な笑みを浮かべていた。


「やられた!」


 なんとか浮上し、愛染に仕返しをしようとしたが………。


「こんな所で鼻血出すなよ。」


 夏樹と、濡れた桃白を見て、鼻血を出していた。

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