見知らぬ動物園と少年

@EARLY-TW

第1話 

この広い世界のどこかに、海底火山によってできた島を敷地とした、超巨大総合動物園があったという。

ジャパリパーク。

世界中の動物を集めることを目的としているその巨大施設は、特殊であった。

未知の物質「サンドスター」によって擬人化された動物、フレンズが自由に暮らしていた。

しかし、いまだに開園はしていない。

それどころか、今は人間は一人もいない。


人々はこの動物園の存在すら知ることはない。







波の音が静かだ…

俺はなんで横たわってるんだ?

今すぐ起きないと…


見慣れない光景に思わず「あ」と声を漏らす。

地面は…アスファルトの道路ではない、砂浜だ。

目の前に森が広がっている。さらに向こうには大きな火山が…

そして背後には無残にも壊れている船。


ポケットから携帯電話を取り出したが、圏外と表示されている。

「チッ 何が起こったのかさっぱりわかんねえ… それに知らない場所、あんな大きな火山は本にも載ってない… ここは…異世界か?」


俺はひたすら考えたが、ここが異世界なのかも分からない。

考えても何も進まない。


「まあ、異世界でも何でもいい、とりあえず探索してみるか…」


とりあえず船にあったものをリュックに詰め込んだ。

双眼鏡、水の入ったペットボトル、虫眼鏡、鉛筆、ノート、テント

「後は何が起こるかわからないし、斧を持ってくか…」


海水で少し錆びているが、きっと役に立つだろう。


そして俺は出発した。


いきなり森は危険だと思ったから、まずは長く続く砂浜を歩いた。

何分か歩いたとき、向こうに青色のゼリーのような物体がいるのに気付いた。

「あれは… 敵か?」


様子を見ることにした。 しかし、それはこちらを見るといきなりこちらに襲い掛かってきた。


「な…!」


俺は斧を取り出そうとしたが、焦りでうまく取れない。

やられた…と思った時、その物体は突然砕け散った。

「うぇ?」


思わず声を漏らす。そこには、人間が立っていた。

少女だ、年は見た目では分からない。

特徴としては…獣のような尻尾と耳がついている。きっとここに住む民族の衣装だろう。

しかしそう思った瞬間、尻尾が動いた。


俺は驚いた。 あれはつけている物ではない。

本物だ…! 


「あんた大丈夫? あんな小さなセルリアンも倒せないの?」


何が起こったかは分からない、でも彼女の言葉にだんだん腹が立ってきた。

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