終末世界の悪役令嬢
こうじ
第1話 婚約破棄されたら国が滅びました
「どうしてこうなったの?」
私『クレア・レートン』は、一人寂しく呟いた。
ついさっきまで私は国主催の晩餐会に参加していた。
しかし、いきなり婚約者である王太子様から公の前で婚約破棄を一方的に宣言され問答無用で私は会場から追い出され現在『幽閉棟』に放り込まれた。
華やかなパーティー会場とは一転して冷たさだけが残る石壁に囲まれあるのはベッドとトイレのみ。
窓にはガラスは無く鉄格子だけ。
元々は重罪を犯した犯罪者を収容する施設なんだけど、私そんなに悪い事したかしら?
王太子様が最近、妹と仲良くしているのは知っていたけど、まさか盗られるとは思わなかった。
国王様がいらっしゃっている場での婚約破棄だから多分、両親や国王夫妻も承知の事だったんだろう。
「私の10年てなんだったのかしら・・・・・・」
思えば幼い頃に婚約者となり王妃教育を受けた。
同年代の令嬢達はイチャイチャしているのを見ながら私は厳しい王妃教育を受けた。
周りからは『可愛いげがない』とか色々心無い言葉を受け続け、夜な夜な枕を涙で濡らしていた。
でも、全ては将来の王妃になる為に我慢してきたけど全部無駄だったみたい・・・・・・。
「風が涼しいわね・・・・・・」
私は窓から外を見た。
夜風がぽっかりと開いた心に染みる。
が、私はある違和感を抱いた。
遠くに森が見えるのだが夜の闇とは違う、何か蠢いている様に感じた。
もぞもぞと動きながらこちらに向かって来ている様な・・・・・・。
「って、アレって魔物じゃないっ!?」
この世界には魔物が少なからず存在していて何百年に1度『スタンピート』という魔物の大量発生がある。
コレが起きる時、それは国が滅亡する時で大体予測して事前に避難とか対策して最小限に被害を抑える。
が、我が国はこれまで魔物の被害が無くて危機管理というのが全く無かった。
「し、知らせないと・・・・・・」
私は鉄格子を掴み叫んだ。
「兵士さんっ!! 大変ですっ!! ま、魔物が大量にこっちに向かって来てます!!」
しかし、返事は無かった。
多分、晩餐会の警備に行っているのだろう。
「ど、どうしよう・・・・・・」
私はとりあえずベッドの下に隠れ身を縮ませた。
暫くしてドドドドとか不気味な鳴き声が聞こえてきて私は目を閉じて耳を塞いだ。
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