Takeユースケ:パーティ完成
太陽が中天に差し掛かり、今日が半分終った、そんな時・・・
〝勇者〟の
総勢二十六名。加えて五名。
ここにいないのは、この時名実ともに〝狂人〟と呼ばれ始めた
戦うことを拒んだ
「―――――今日、ここに集まってもらったのはほかでもない。勇者殿達の訓練が一段落つき、そろそろ勇者パーティを決定づけようとおもうのだ」
銀の鎧に身を包んだ四十くらいの男が口を開く。
「君達には、連携の練習もしてもらっただろう?その結果とリューシンのアイデアと実力を鑑みて作ってみた。意見があれば言って欲しい」
ここに至るまで、誰も何も言わない。
ある者は、リューシンの考えなら間違いない、と。
ある者は、根本的に興味なく。
ある者は、不安と緊張で圧し潰されそうで。
無論、最後の一部に当てはまるのは我等が勇者、高井雄介である。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いやぁ、誰か痛み止めを下さい。
お腹が、お腹が痛いんです。胃がキューっ締まっていくのが感じられるんです。
太〇整〇薬とか、そういうの下さい。
「これまでの訓練から鑑みて、また常識的にも三パーティに分けようと思う。戦わない者たちもいるが、その者たちは別だな」
銀の鎧の騎士—————シンフォード聖王国騎士総長アレリウス・バルフ・オースティン。
彼は、僕たちの教官だ。加えて、シンフォード聖王国の最高戦力だ。
【神鳴りの剣聖】と呼ばれて十数年。
シンフォードの危機を二回も救った英雄だ。
「翔、戻るぜ。時間だ」
「仕方がないか。委員長、僕の分も聞いておいてくれ」
「分かった」
白衣を着た小柄な少女―――――遠藤蘭が立ち上がった。続いて川北翔がついていく。
蘭はほとんど気にしていないが、翔は少し申し訳なさそうだ。
まぁ、当たり前か。
「ランは仕方がない。
「当たり前だよ、あたしを戦いに出したらすぐ死ぬぜ?」
口が悪い・・・
ドアを開けて、蘭と翔が出ていく。
蘭の
研究をしていない時間が一時間に達したら暴走する。代わりに研究中は全く疲労しない。それに加えて性格破綻者と呼ばれるほど研究に熱意を燃やす彼女のことだし、またえげつないものを作るんだろう。
・・・この前は、邪な気持ちを持った瞬間に追いかけてきて自爆するゴーレムとか作ってたな。
お腹痛い・・・
「ちゃっちゃか発表しようか」
そう言って軽快に笑う茶髪のローブを着た、ザ・魔法使いみたいな人はモーテン・マネム・ディーグ。
「まず、勇者として活動するユースケパーティは―――――」
一つ言っておこう。
断じて僕は認めていないことがある。
勇者パーティのリーダーが勇者でなくてはならないなんて法律は、ない。
「龍慎がやるべきだ。僕には荷が勝ちすぎる!」
「勇者だし、雄介がやる方がいいと思うよ。雄介ならみんなついてきてくれるさ!」
「端的に言って、ムリ!」
「出来る、君なら出来るさ!」
「・・・龍慎で良くね?」「寧ろ龍慎じゃねえと無理だろ。こいつらを纏めんの」
「その通りだ、榮一、晃大!」
「・・・勇者が断言することでもねえな、オイ」
「・・・・・・その点については申し訳なく思っている」
「いいじゃないか。僕らのリーダーは龍慎なんだしね」
龍慎よ、そもそも僕に矢面に立てというのが間違っている。
僕は勇者型ですらないんだって。
瑠偉も、榮一も、晃大も、結城や権左衛門もそういう顔してるだろう!
「君たちはそれでいいかい?悠、夏希」
「もちろんだよ!私は、未だに脇役系主人公でもありだと思っているからね!」
「うん、雄介がリーダーなのは
はっ、なんだ、眠っていたのか?
急に寒気とおぞけが・・・
「寒ッ!」「夏希、何でそんな・・・」「寝るな、寝たら死ぬぞ!」
ああ、夏希の(氷河を召喚するレベルで寒い親父)ギャグか・・・
「むぅ、なっちゃん、私の主役理論が掻き消されるじゃん!」
「ふふふ」
「く、くぁわいいぃ。負けもした・・・」
クラストップレベルで強いけれど、なんか、癖が強い。
悠はオタクだ。それなりに整った顔立ちだと、誰もが認めるのに、何かミスマッチなおかっぱを好んでいる。それ以上に言動が残念過ぎる。
夏希は美少女だ。乃蒼や織姫—————
「いいのかい?僕よりも、雄介の方が――――――」
「「「「「「「「「「(悪いが)ありえん」」」」」」」」」」
最高の満場一致が決まった瞬間だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
1:井上龍慎、高井雄介、青原夏希、中野悠、倉持ランジェレスカ瑠偉、小暮結城
2:藤原晃大、錦権左衛門、寄居あげは、天狼院祐奈、天狼院沙耶、川北翔、馬島則史
3:谷口榮一、真白美姫、近藤俊介、渡辺孝弘、島村みのり、玉藻藍那、佐藤哲司
待機組:遠藤蘭、金田織姫、弦月隆一、山田一色、榊原雄之進
大工:木原武尊
治療院:八坂乃蒼
行方不明:犬山桐吾
僕のパーティはと結城が前衛、瑠偉と夏希が遊撃、龍慎が中衛、僕と悠が後衛。
意外と良く分かれたな。
今日も日記は、付け終わった。
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