幼馴染みが学校をサボって俺の部屋にいるので、一緒に付き合うことにしました

神崎夜一

第1話 美少女オタクはギャルゲーを嗜めます


「『こんこん』」


扉を二回叩いた。


「入ってきていいよー」


中から声が聞こえ、部屋に入る。


「ってここ俺の部屋じゃねぇーか!なんでお前が自分の部屋かのようにいるんだよーー!!」

「いつものことじゃん。今更何言ってんの?」


いつものことすぎて扉をノックしてしまった。


「確かにそうだけど。この状況って色々まずいってことを沙月はわかってるのか!?」


俺の部屋でベットを背にくつろいでいるのは佐藤沙月。俺の幼馴染みで同じ学校に通う高校一年生だ。ps4をやりながら片手でポテチを食べている。全くけしからん。


「私とゆうの仲じゃん。何か問題があるの?」

「も、問題はないが、その、世間的にだなー」

「それよりゆうちゃん。この選択肢、どっちがいいと思うー?」

「人の話を最後まで聞けって、っっえー!それって今日発売だった『可愛い彼女』の新作じゃんか!」

「そうだよ。早く一緒にやろーよ」

「しょ、しょうがないな。やるとするか」


沙月の横に腰を下ろし一緒にゲームをやることにした。沙月は制服のシャツを第三ボタンまで開けてるせいか胸の谷間がはっきりと見える。警戒心がなく、まるで自分の部屋かのようにリラックスしている。


「今日も学校サボったのか」

「だって学校つまんないんだもーん」


沙月は黒髪ショートで愛らしくて可愛らしさを兼ね備えている美少女だ。左の目の下にホクロがあることによりエロさが増しているように思える。本人は自分が美少女だって言うことを分かっているのかいないのか分からないが、どこか気の抜けた性格でマイペースだ。

近くにいくと鼻腔をくすぐる花の甘い香りが漂ってくる。ここは花畑なのだろうか?そう思わせるかのような感覚に陥ってしまいそうだ。

学校では沙月の言葉を聞かないくらい人気なのにどこにつまらない要素があるのだろう。


「なんでつまんないんだ?」

「こうしてゲームしている方が楽しいんだもん。友達と話すよりも」

「それはわかる。わかるけどもそれは俺に限った話だ」

「どゆこと?」

「俺みたいなぼっちはいいが、お前は友達が多く、コミュニケーションもそれなりにある。それなのに何故学校がつまらないだ?不公平すぎるだろ!」

「ゲームが楽しいんだからいいじゃん。それよりここどうする?」

「えーと、やっぱり鈴香の気持ちを考えるとこっちじゃないか?」

「私もそう思ってた!」

「って話聞けよ!」


沙月は俺の話なんかどうでもいいかのように、ゲームに集中している。時折、ニヤニヤしてよだれを拭いていたのは見なかったことにするか。


「鈴香たん可愛いぃ!好きっ、好きすぎる!」


ギャルゲのメインヒロイン鈴香が主人公とキスをしたシーン。沙月は少し顔を赤らめ、息が荒い。


「ゆうちゃん!この鈴香たん。マジ良くない!?」

「あぁ、そうだな。それでお前はいつ帰るんだ?」

「良いシーンなの。今はゲームのことだけにして!」

「そうですか」


沙月は目を輝かして見ている。ここは黙っておくしかないか。俺はスマホに目を落とし、アニメ情報を調べる。


「えーーーーーーん、えーーーーーーん。す、鈴香たーーーーーん!」

「おい、だ、大丈夫か?」

「だ、大丈夫じゃないよー。鈴香たんが死んじゃった」

「バットエンドか。ドンマンだな」

「鈴香たーーーーーーん。逝かないでーーーー!!」

「落ち着けって」

「落ち着いてられないよ。鈴香たんが、鈴香たんが」


大泣きしている沙月を泣き止めさせる方法は一つしかない。それは頭を撫でてなることだ。

俺は沙月の頭を撫でてやる。すると、少しずつ元に戻ってくる。


「あ、ありがと。ゆうくん」

「あぁ」


泣き止んだ沙月は目を赤くして、ゲームをリスタートした。


「これでゆうくんも最初からストーリーがわかるでしょ?やろーよ」

「そうだな。これで俺も感情移入できるな」

「朝までルート開始よ!」

「えー!帰らないのかよ!」

「大丈夫だよ。親にはゆうくん家に行くって言ってあるし」

「それ大丈夫じゃないだろ!」

「大丈夫大丈夫。私の親のことならわかるでしょ?」


幼馴染みの付き合いだから沙月の親とは仲良くしているが。でも、ダメなものはダメだろ。


「それに私の親今、温泉旅行でいないし」

「はー。そうかよ。お泊まりください」


俺は諦めて、従うしかなかった。


「なら着替えてこいよ。家、隣なんだし」

「めんどくさいからいーよ。それより、ゲームに集中して!」

「はいはい」


時間の流れは早いもので、夜が開け始めていた。


「もう5時だぞ?明日も学校だし、そろそろ寝ないか?」

「ゆうくんは鈴香たんの最後を見ないでゆっくり寝れるというの?」

「寝れません」

「だったらやろ?それに明日学校行かないし」

「ちょ、ちょっと待って。それずるい。明日にしない?」

「それでもゆうくんはオタクを名乗れるの?オタクというものは発売日に出たら、その日に終わらすのがオタクの流儀なのよ!まぁ、無理だったけど」

「わかったよ。付き合えば良いんだろ。明日学校来いよ」

「やだ」


こいつは明日寝れるのにとても酷いものだ。明日、授業中に寝るの確定だな。眠すぎる。


「ほら、寝ないの!起きて!」


なんて自分勝手なんだ、、、、、、、、、、、。そして、俺はそのまま寝てしまった。


気がつくと朝だった。

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幼馴染みが学校をサボって俺の部屋にいるので、一緒に付き合うことにしました 神崎夜一 @guiltycrow

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