第467話 準備
「――それじゃあ作戦通りにいきますよ」
上代琉生がトランシーバーを取り出し連絡を入れる。
「作戦まで少し時間がかかります。だからそれまでの間、注目を引きつけてくださいね英雄様」
「あぁ、任せろ」
「私も協力しようか」
「お願いします」
上代琉生が指示を出す中、康生とリナさんが兵士達の注目を集めることになった。
「エル、私達は上代琉生の手伝いをするぞ」
「うんっ、分かった」
そしてエル達は上代琉生と共に作戦実行の手伝いをすることに。
「さて、この人数相手にどうする?」
康生の隣に立ったリナさんはどうしてか、表情を和ませながら楽しそうに尋ねる。
「そんなもの決まってるよ。とにかく敵を倒す。全員殺さずに」
「ふっ、難しいことを言う。まぁ、これもお嬢様のためだ。私はそれを果たすとしよう」
康生が拳を構えて、リナさんがレイピアを取り出す。
その二人を見た兵士達はわずかに動揺しながらも、数の利があるからかすぐに威勢を取り戻す。
「敵の数に惑わされるな!周囲への警戒を怠らず反逆者どもを討ち滅ぼせっ!」
そしてさらに指揮官の言葉が入り、兵士達の指揮がさらにあがる。
「なるほど。敵の司令塔も中々にやるじゃないか」
「感心している場合じゃないよ。俺達はとにかく注目を集めないとっ」
「あぁ、分かってる。それじゃあ行こうか英雄っ」
その言葉を区切りに康生とリナさんは一気に足を踏み込む。
「来るぞっ!」
兵士の誰かがそう言った。
一気に足を踏み出した二人は、すぐさま敵兵の軍へとつっこんでいく。
二人で何千もの数の兵士を相手に康生達は反撃をする。
「おらぁっ!」
康生は風の力を全力で使用し、あちこちにクレーターを作る。
「はっ!」
そしてリナさんは雷を纏わせたレイピアを振り回し、あちこちに雷撃を食らわせる。
「ぐはぁっ!」
「ぐっ!」
流石の猛攻撃に敵兵達は康生達の進撃に耐えられない様子だった。
だが相手は康生とリナさんのたった二人。
いくら攻撃が激しかろうと、敵兵には数の利があった。
どれだけ攻撃を食らおうとも、次から次ぎへとひっきりなしに敵が襲ってくる。
対して康生とリナさんは全方位に意識を向けながら猛攻撃を繰り広げている。
今はなんとかなっているが、それでもそう長くは続かないだろう。
敵もそれが分かっているからこそ、いくらやらようが迫ってくる。
まさに数の暴力。
やはり康生達は圧倒的に不利だ。
だが、その状況を変えるために上代琉生は裏で作戦を実行していた。
そう。康生達を囮にして。
「英雄様っ!リナっ!準備が出来ましたっ!」
その時、猛攻撃を加える二人に上代琉生は思い切り叫んだのだった。
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