第413話 移住
「――ふぅ」
ここは異世界のとある秘境。
そこでリリスは小さなため息を吐いていた。
「あの人はやっぱり変わってないな」
先ほど貰った手紙をそっとテーブルの中に締まったリリスはすぐさま部屋を出る。
「おいっ、誰かおらぬかっ!」
「「はっ!」」
部屋を出て声をあげたリリスの前に、すぐさま護衛の二人が集まる。
「二人共、先ほど仕事がはいったが頼めるか?」
「はっ!」
「ただちにっ!」
そうしてリリスは護衛の二人に用事を頼む。
用件を頼まれた二人はすぐさま走りだした。
(ひとまずこれで大丈夫じゃな)
走り去っていく二人の背中を見送りながらリリスはそんなことを思う。
「よし、我も頑張らないといけないの。ひとまずくずにメルンと連絡をとらねば……」
そうして部屋に引き戻ったリリスはメルンと連絡をとるためスマホを取り出す。
『もしもしっ!リリス様っ!』
電話をかけてものの数秒でメルンが出てきた。
「お主今時間は大丈夫か?」
『勿論大丈夫ですよっ!』
「そうか、ならちょうどいい。だったら今の国王に大事な伝言を頼みたい」
『今の国王にですか?』
せっかく久しぶりにリリスと話すことが出来たメルンだったが、用事は兄である王にあると言われ、わずかながらにテンションが下がる。
「あぁ、すまんが緊急事態なんじゃ。頼めるか?」
『そんなの断るわけないじゃないですか』
「いつもありがとうなメルン」
メルンの殊勝な態度にリリスは思わず感謝を伝える。
『何言ってるですかリリス様。このぐらいなんでもないことですよ』
リリスから感謝されたことが嬉しかったのか、メルンの声色がわずかながらあがる。
『それで伝言の内容はなんなんですか?』
「あぁ、それじゃが……」
そうしてリリスはメルンを介して、今の現国王に伝言を伝えた。
「――ということだそうですよ」
リリスからの伝言を承ったメルンは早速兄である国王の元へと行く。
「そうか……。まさか人間界ではそのようなことが起こっているなんて」
どうやら伝言の内容は、中央地下都市の進軍についての内容だった。
「まぁ、実際報告もでていましたからね」
当然人間界の動きは異世界人達は把握はしていた。
しかし行動の内容にまでは分かっていなかったようで、改めて事実を聞かされた国王はわずかながらに動揺しているようだった。
「あぁ、それともう一つ伝言がありました」
「なんだい?」
重大な内容を聞かされた直後だからか、国王はわずかながらに緊張した顔を浮かべる。
「あのザグって人がいた国の国王が、今リリスさん達の国へ移住したい人達を集めて送っているそうですよ」
「何っ?」
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