第404話 魔法技術
「さて、すでに皆も知っているだろうけど改めてこちらから説明させてもらう」
地下都市中央にそびえ立つ建物の中。
康生達主要メンバーが一同に集まっていた。
その場で進行を務めるのは上代琉生だ。
自身の部隊で掴んだ情報と共に、今回の出来事を話していた。
「まず、中央都市に集まっていた全勢力がこの場所へと向かって出発したという報告が入った」
この集まりは人間界の国王の放送からすぐに開かれたものだ。
突然のことだったとはいえ、上代琉生は今まで情報をきちんと集めていたのかすらすらと述べる。
「恐らく俺達が仲間を急激に増やしているのが問題なんだろう。我々の部隊が地方で仲間を集めていることにとうとう向こうがしびれを切らしたようだ」
そう。上代琉生達の部隊は各地で情報を集めるだけではなく、仲間も集めていたのだ。
徐々に徐々に仲間は増えていき、今この地下都市では約一割もの人口が増加した。
「だが全勢力というのは本当なのか?もしそんな大規模なことをすれば確実に向こうにも気づかれるぞ」
ここでリナさんが言う向こうとは、異世界人達のことだ。
リナさんが指摘した通り、人間な大きな動きを見せた場合、当然異世界人達も何かしら動きを見せるのではないかと、警戒しているようだった。
「多分それはしっかり考えていると思いますよ」
しかしリナさんの指摘に上代琉生はすぐに答える。
「恐らく中央都市は同時に異世界人達とも戦うつもりでいるでしょう。いや、正確には俺たちを次いでとしか考えてないみたいですよ」
「そうなのか?」
自分達が次いでという話を聞き、康生は思わず口を挟んでしまう。
「でもこの前すごい人達をいっぱい倒したからそもそも兵力があまりないんじゃないの?」
とエルもまた疑問を抱いたようだった。
この前の戦いで康生達は中央都市の主戦力を撃破した。
だからこそ向こうも警戒しているだろうと考えていたが、それが自分達を次いでと考えていることに疑念を抱いたのだろう。
「……つまり向こうにはそれだけの戦力があるってことだな?」
「はい、そうみたいですね」
そんな状況下で進軍してくるということは、つまりはそういうことだった。
厚生もエルも、リナさんの意見を聞きわずかながらに納得する。
「もしかして……」
とそこで今まで黙っていた時雨さんが不意に何かを思い出すように呟く。
「まさか敵はあれを完成させたのか?」
「あれ?」
時雨さんの言葉にエルは首を傾げる。
「あぁ。私が以前聞いて話だが、軍は秘密裏に強靱な兵士を作るために人体実験をしているという話があった」
「人体実験……」
時雨さんの言葉を聞いた康生は、どこか聞いたことのある話に頭を悩ませる。
「どうやらそうみたいですよ」
そしてその情報を仕入れていた上代琉生が肯定するように説明した。
「どうやら敵は人体実験に成功し、魔法技術を確立させたようです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます