第200話 無線
「君の驚異は分かった。これからは我々五人総出で君の相手をしよう」
「なんだと?」
剣の男が放った言葉に真っ先に反応したのは翼の女だった。
「だったら、私達も2人でいかせてもらおう」
相手が全員でくるのならばと、翼の女も康生の隣で武器を構える。
「それで構わないさ。君の実力ならもう知っているからね」
「なんだと?」
だが、剣の男は翼の女を見てただ笑みを浮かべるだけだった。
それが翼の女の怒りに火をつけることを承知の上で。
「君はいろんな戦場で見かけたからね。あの時は軍勢の優劣で負けてしまったが、君だけなら僕たちは負けない」
なるほど。翼の女の実力を知っているということは、この隊長達は以前どこかの戦場で翼の女を見たことがあるということだ。
だから翼の女の実力も知っており、自分達で十分対処できると考えているのだろう。
「舐めるなよっ!」
そして案の定、翼の女は自分の実力が下に見られたことに怒りを表し、敵に向かって飛びかかろうとする。
「くそがっ!」
しかしその寸前の所で、一人の声が響いた。
視線をやると、そこには康生に吹き飛ばされた斧の男が起きあがっていた。
「……少し油断した」
そして同時に隣にいた槍の男も目を覚ます。
彼らの鎧は多少傷ついている様子だったが、2人とも戦闘不能にはなっていない状態だった。
いや、むしろ大きな怪我は見える範囲では確認できなかった。
「くそガキっ!てめぇなんぞに俺がやられるかよっ!」
そして斧の男は自分が吹き飛ばされたことに怒りを示し、武器を構える。
隣では槍の男も同様に武器を構えていた。
「待て。ここからは我ら総出でかかる」
しかしそんな二人を剣の男が抑制する。
すると斧の男と槍の男はそれぞれ武器を構えながらも剣の男に近づく。
その反応を見るからに、剣の男がこの中で一番の強者でありリーダーであるということが伺えた。
「っていってもどうするんだよ。あのガキの力はまだ未知数だ」
「そうだよ、しかもノータイムで魔法を放ってきたからいつどのタイミングでくるか分からない」
二人は隊長達に近づくと、それぞれ戦った上での感想を述べる。
およそ作戦を考える際の材料になればと思ったのだろう。
そして康生はそれを眺めながらに考える。この先どう戦おうかと。
複数で戦うというならば、連携が必要だ。だが恥ずかしい話、康生と翼の女とで連携がとれるかと聞かれれば康生は答えることが出来なかった。
『康生っ!』
そう考えている所に、時雨さんから無線が入ってきた。
『こちらに直属部隊の隊長が一人来たっ!』
その直後、無線の向こうでは大きな爆発音が響いたのだった。
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