第36話 武装機械
『先ほど発光したその鎧。一体なんなのですか?』
「この鎧か?」
AIの問いを聞き時雨さんは自身の鎧をしばらく見渡す。
「あぁ、そうかそういえば君たちは今の世界の事を知らなかったんだな。あまりにも当たり前過ぎて忘れていたよ」
そういうと時雨さんはその白い鎧に手をかざす。
すると先ほどと同じように白い鎧は白い光を放ったのだった。
「この鎧には機械が組み込まれているんだ」
そして説明を始めた。
「機械?」
「あぁ。この鎧は別名『武装機械』と呼ばれていて、このように鎧に組み込まれている機械を発動させると白く発光するんだ。そして鎧を身につけている者の身体能力を向上させる。今や全ての部隊に供給される鎧だ」
鎧に機械を。
まるでSF小説にでも出てきそうなものだった。
同時に康生の男心を高ぶらせた。
「そ、それってどんな感じに身体能力が強化されるの?」
康生は鎧を観察するようにじっくりと、それこそ舐め回すかのように見る。
「じ、実のところどのような原理かは機密事項なので私にも分からない……」
そんな康生に少しだけ引きつったような顔を浮かべながらも応える。
「なるほど機密事項……。だとしたら勝手に調べると違法になってしまうのか?いや、でもこんな技術を世に伝えないというのも勿体ないような……」
鎧を眺めながら康生はブツブツと呟く。
「はぁ……」
そんな康生を見てエルは大きくため息を吐く。
「そんなことよりこれからどうするかを考えないと」
康生に代わったエルが話を進める。
だが康生はすぐにエルの言葉に反応する。
「そんなもんもう決まってるだろ?」
「え?何?」
エルは康生の言葉に疑問を浮かべるのだった。
何故ならこれから先の事なんて全く話し合っていないのだからエルには分かるはずがない。
「とりあえず地下都市に行くのがいいんじゃないの?」
「まぁ確かに当面の間生活できる場所は欲しいけど」
「私は全然構わない」
「よし、じゃあ行こうか」
そうして康生の言葉によって康生達一行は地下都市へと向こうのだった。
「へぇ〜、あいつあんなに強かったのか」
ドラゴンが倒れている場所から少し離れた所、一人の男が双眼鏡を持って康生達を眺めていた。
「それに中々面白い話しも聞けた」
そう言って男は先ほど話していた康生の今までの話しを思い出し嫌な笑みを浮かべた。
「まぁ、まずは大事な食料でも確保しにいきますか」
そう言って男はゆっくりと歩き出した。
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