第5話 文化祭学園ミスコン その2

 私の鼻息でガラスが曇る。しゅう君は謎の1年生と何処かへ消えた。


 ぶしゅー。ぶしゅー。あいづらどごにいっだぁぁ!


『えー、続きましてー。シチュエーション告白のクジ引きです。出場者5名の皆様ステージにお集まり下さい』


 司会進行の生徒のアナウンスが流れた。


 ……あれ? 私、何をしていたの? ……あの子、羨ましいなぁ。ミスコンは今さら棄権出来ないし……とりあえず制服に着替えよっと。


 私は急いで制服に着替えてステージに行った。私が最後だった。


 シチュエーション告白とは、ステージ上で告白の演技をする事。それを審査員の先生が点数をつける。ステージの中央に箱がありその中に封筒が入っている。私は最後に封筒を引いた。そして封筒を開けて紙を広げてお題を見た。



 シチュエーション告白のお題。


 放課後の教室。

 相手は同級生男子。

 好きと告白して下さい。


 相手の男子 三年 西園寺修造



 ……はにゅ? しゅう君が……相手? え、えぇぇ! マジですか! でもどうして? 何故ミスコンに協力しているの? これは恋のキューピットの仕業なの? きっとそうだよ! ありがとうございます!


 私の順番は最後の5番目。今は舞台袖で待っている。隣には相手役のしゅう君がいる。


「しゅう君、どうしてシチュエーション告白の相手役やっているの?」

「俺は嫌だったんだが妹に頼まれて仕方なくだ」


 妹? 情報だとしゅう君はおじいちゃんと二人暮らしだよね? あれ? 誤情報だった? あっ、さっきの隣の1年生もしかして……妹さん?


「えっと、さっき外を歩いているのを見かけたけど、隣にいたのは妹さん?」

「そうだ。俺が逃げない様に監視されていた」


 あ、あの超可愛い子がしゅう君の妹! ありがとう私の恋のキューピット! 天使だよ! マジ天使だよ!


 そして私の順番が来た。二人でステージの中央に立った。


『最後は桐生ルリさんと、この学園5本の指に入るイケメン、西園寺修造君です。シチュエーション告白の内容は、放課後の教室。同級生の男子に告白する女子です』


 司会の生徒から私としゅう君の紹介とシチュエーション内容が発表された。体育館は二階建て。二階は固定式の席がある。一階はパイプ椅子が並べてあるけど立ち見が出るほどの満員。野太い声援と黄色い声が響いた。


 ……あれ? さっき司会の人、しゅう君をイケメンって言ってなかった? フツメンだよ? んん? 私の大好きな恋愛アプリゲームのランティス様に比べたら月とスッポンの差だよ? あれ? もしかして二次元と現実は別に見ないとダメ?


 私はしゅう君の事は大好き。だけどそれは内面が好きで外見ではない。外見がランティス様以上は存在しない。


 うーん。二次元のランティス様を外して現実視点でしゅう君を観察して見よう。ふむふむ。涙袋があって目が大きい。鼻筋も通っている。髪や眉毛も整っている。お肌も綺麗。歯も白色で並びも綺麗。上品な顔立ち。しかも小顔。身長とのバランスはグット。背筋も真っ直ぐ……あらやだ、イケメンじゃない! ランティス様に遠く及ばないけど私好みのイケメン! 最高でしゅ!


 しゅう君はフツメンと思っていたけど実は私好みのイケメンだった。今まで気付かなかったのが不思議なんだけど、ランティス様に夢中だったからかな? 私の初恋はランティス様だしね。


『では、どんな告白が見られるのか? 桐生ルリさんお願いします』


 司会の生徒が合図をした。体育館はザワザワしていたけど静かになった。


 ふっふっふ。まっかせなさーい。ガチ告白します! みんなは演技だと思うけど、外見、内面と私はしゅう君に惚れました! 桐生ルリ、いっきまーす!






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る