第6話 本気の告白

 体育館は立ち見が出る程の超満員。私の告白の演技を見るため静かになっている。ステージ中央に居る私は深呼吸をした。目の前にはしゅう君がいる。


 いくよ! 頑張れ私!


「しゅう君、来てくれてありがと」

「仕方なくだ。頼まれて来ただけだ」

「ふふ。しゅう君ブレないなぁ」


 しゅう君は演技しないつもりだよ。雰囲気に飲まれない。素敵。


「あのねしゅう君。初めて話をした時の事覚えている?」

「覚えている」

「私の事ゴミとか美少女は糞の役に立たないって言ったよね? 私、なんだコイツて思ったよ。あの頃の私は天狗になっていたの。そしてしゅう君のお陰で鼻が折られてソレは無くなったの」

「それは良かったな」

「そしてオ……ある事でしゅう君は私を助けてくれた」


 危ない。オナラって言いそうになった。しゅう君が守ってくれた二人だけの秘密。喋ったら勿体ない。


「なぁお前、ソレは演技なのか?」

流石さすがしゅう君。気づいた? 演技じゃないよ。本気の告白だよ。だからしゅう君も今回はちゃんと答えてね」

「……公開告白か。これだから美少女は困る」


 体育館全体がざわついた。そうだよね。みんなビックリだよね。


「西園寺修造君。好きです。大好きです。私の彼氏になって下さい」


 私は右手を差し出した。体育館はしゅう君の返事を聴く為に静かになった。物音一つない。固唾を飲み見守っていた。


「受けても断っても大変な事になりそうだな……分かった。俺は桐生ルリの彼氏になる。今からルリは俺の彼女だ」


 しゅう君は私の手を握った。体育館は大歓声。みんな祝福してくれている。


「やった。断れません作戦大成功! しゅう君よろしくー」

「やはりか。なら俺もルリを利用させて貰う。近づいて来る女性を排除して貰う」

「もちのロン。ハーレムなんてゴメンだよ。しゅう君は私だけの彼氏。誰にも渡さなーい」


 私はしゅう君の腕をギュッと抱きしめた。しゅう君は呆れていた。


「ミスコンの優勝は無理そうだな。演技じゃないガチ告白だったからな」

「いいのいいの。しゅう君が手に入ったからミスコン優勝なんて要らなーい」


 その後、体育館は熱気が冷めやまないままミスコンの結果が発表された。


 私の優勝だった。


 両方手に入っちゃった。可愛いは罪だね。テヘッ。





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学園一の美少女の私がぼっち君に恋をした さとうはるき @satou-haruki

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