第3話 ザイログは失敗し、モトローラが躍進する
ザイログ社のZ80は、素晴らしい性能であっという間に市場を席捲した。
数年間はほぼすべてのPCがZ80を採用するという、驚異的な事態になった。日本のPCは富士通を除いてほぼZ80を使っていた。日本の半導体メーカーはザイログからライセンスを受けて生産を始めた。
しかし、そのあとがよくなかった。ザイログは次世代CPUの開発に遅れを取り、あっという間に凋落していく。このあたり、ほんとにIT産業というのは浮き沈みが激しい。
資本力を増強し、ビジコンからマイクロプロセッサの特許を買い取ったインテルは、次世代のi8088、i8086を開発した。これまでにない処理能力を誇り、IBMは新しいPCにi8088を搭載することにした。これで本格的なPCの普及につながっていく。
一方で、IBMのPCは日本語環境が非常に弱くておまけに高いわけで当時の日本ではあんまり売れなかった。世界的にはアップル対IBMという状況になった。一方で日本ではシャープ、富士通、日本電気がみつどもえの戦いを始めていた。それに、日本では日本語処理の問題もあって、ビジネスというより趣味としてPCを使う人が多くて、相変わらずZ80が主力であった。また、当時はプラザ合意の前であり、日本円は1ドル240円でほぼ固定されていた。それが、半額になったのである。メーカーはたまったものではない。
でだ。CPUはインテルの独壇場であったかというとそうではない。
モトローラが強力なMC68000を開発して、高機能PC向けに売り始めた。どう考えてもi8086よりMC68000のほうが優れてる点が多かったが、インテルは策略を練り始めたわけである。このあたりは、「インサイド・インテル」という本に詳しい。
この本の横書きが強烈である。つまり、「あのファック野郎、モトローラの息の根を止めろ!」である。ありとあらゆる戦略で、モトローラを締め上げはじめたがMC68000は高機能PCにはなくてはならない存在になりはじめた。
そのきっかけになったのが、アップルの「マッキントッシュ」である。
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