3話
アレオの目の前に、天使のような羽根を持っている英雄フーゴがいた。
ミクサを助けられなかったことを思い出しながら問いかけた。
「ボクは死んだのですか?」
顔一つ動かさずフーゴは首を横に振る。
フーゴが上を向きながら突然語り始めた。
「三つほど言い忘れたことがある。一つ目、この時間軸では未来で覚えたことも使えること。もちろん、過去に覚えたこともね。二つ目、死んだら私がいるこの空間に戻ること。補足として説明すると、この空間は君の魔力でできている。三つ目、時間を戻るにも君の魔力を消費するので制限があること」
突然、語り始めた内容を理解したアレオは意味が解らず聞き返してしまった。
「あの、どうしていまそんなことを?」
「言う前に君の魔力が足りなくて説明できなかったからさ」
アレオは納得していると、フーゴが頭を一ミリも動かさないので見てみた。
見てみると、雲一つない青空の下にいる。
逆に下は水上にいるかのように、英雄と少年の姿があらわになっている。
左右対称を見てみても、どこまでも地平線が続いているように思えてしまう。
ずっと見ていたい景色。
そんな中、フーゴが問いかけてきた。
「早く行かないと魔力(マナ)が切れてしまうよ。もし切れてしまったらまた一からやり直しだよ」
「あ、はい。対策は考えられたのですぐに行ってきます」
アレオは仏頂面のフーゴに頭を下げた。
□■□
最初のセーブポイントに戻ると、アレオはすぐにミクサを探そうとした。
魔力(マナ)がなくなっていることに気付いたので、周りから取り入れようとした。
未来ならできたのに、それすらもできなかった。
ミクサの走ってきた方向を思い出し、来たと思った方向にアレオは走った。
すぐに、足まで隠れる赤色のジャンパースカートを穿いている彼女を見つけることができたので、森を指差して叫んだ。
「お母さん! 森で面白い物を見つけたの。だから今すぐに見に行かない?」
「え!? アレオ! ちょっと!」
そんなミクサの反応を無視してアレオは森に向かって走った。
アレオは極力魔力を抑えて街一帯に感知妨害魔法を使った。
すると、あたふたしている反応がちょうど向かっている主に森の中からあった。
――もしかして森に拠点があるのか?
――いやでも、あのお母さんを殺した女魔族はどこから?
嫌な予感がして街の中で使ってみると、そこにも反応があった。
後ろを見て、ここで目立つわけにはいかないと思いながらもアレオは策を考えていた。
思いつく間もなく、アレオはミクサに追いつかれ捕まってしまった。
――怒られる。
――どうしよう。
咄嗟の判断で行動してしまったので、反省しながら顔を隠してしまった。
怒鳴り声は聞こえてこなかったので、不審に思ってミクサの顔を見てみた。
悪い夢を見た後のような真っ青であった。
「どうしたの、お母さん?」
「ううん。なんでもないわ。さぁ、服屋で買いものに行きましょう」
アレオは首を傾げながら考えていた。
結局、服屋に連れてこられ再び店主が言ったあの言葉を聞く。
刹那、ミクサが倒れてしまった。
荒い息、動悸も激しく熱もあるような症状。
「ちょ! ミクサさん?! 大丈夫?」
ミクサの看病をしていたので、魔族が襲撃してくることを忘れていたアレオ。
店主やアレオがミクサを病院に運ぼうとした。
ミクサを回復させるため色んな手段を使ったが、魔法を使ったことにより逆に探知され魔族に狙われてしまった。
結果、前回と同じ結果になってしまった。
どうしてミクサが怯えていた理由が解らず、アレオは考え込んでいた。
結果的には助けられなかった。
――もしかして、ボクと同じようにお母さんも……?
そのことを踏まえると、ミクサに問いかけるしか確認する手段がない。
なので、魔力がない状態で戻るのは一回賭けだが戻って確かめようとした。
魔力が徐々に減っていることを自覚しているアレオは、フーゴにいる場所からすぐに一回目のセーブポイントに戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます