氷室冬華イラスト完成記念SS
冬が過ぎ、春の訪れが近づく――そんな、とある一日のこと。
目覚まし時計が鳴り響き、朝陽は浅い眠りから目を覚ました。
寝惚け眼を擦りながらカーテンを開けると、眩しい太陽の光が差し込んで来る。
今日も変わらず朝を迎えた世界の中で、小鳥のさえずりは軽やかに、寝癖のついた髪を撫でる風は暖かい。
どうやら、
シングルベッドの半分は不自然に空いていて、微かな甘い香りと確かな温もりを感じられた。
「おはよう、冬華。相変わらず早起きだな」
「おはようございます……女の子は色々と準備があるんです」
床に散らばったパジャマを着てからリビングに向かうと、冬華はもう既に制服を着ていた。
グレージュの長い髪は綺麗に整えられ、薄く施された化粧は端正な顔をさらに美しく飾っている。
「やっぱ冬華って綺麗だよな」
「なっ……い、いきなり何を言い出すんですか!」
「あ、今は可愛い」
「~~~~~っ!」
照れ隠しなのか、朝陽の背中を無言で叩いた冬華の頬は真っ赤に染まっていた。
そうやって暫く冬華とじゃれつきながら、朝陽は手短に身支度を済ませていく。
「お待たせ」
「……はい」
玄関で先に待っていた冬華は改めて綺麗で、美しく、そして可愛い。
「朝陽くん、大好きですよ」
先程の仕返しなのか、お返しなのか。
冬華は淡く微笑みながら愛の言葉を紡いだ。
目覚まし時計が鳴り響き、朝陽は深い眠りから目を覚ました。
「なんて夢を見てるんだ俺は……」
もちろん、隣には誰もいない。
リビングに向かってもそれは同じだ。
いくら片想い中とはいえ、こんな夢を見るのはどうにかしている。
「……それにしても、やけに鮮明な夢だったな」
まるで、冬華が目の前にいるような感覚だった。
いつか、この夢が現実となる日が来るのだろうか。
そんな淡い期待と甘い妄想を心に秘めて、朝陽は一人小さく笑った。
【後書き】
この度「氷の令嬢の溶かし方」のヒロイン、氷室冬華をイラストレーター様に描いていただきました。
その記念にSSを執筆したのですが、カクヨムではイラストをアップロードできず。
イラストは「小説家になろう」もしくは「高峰翔のTwitter」にて見ることができますので是非!
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