添い寝屋 ソイ
やすみろく
第1話 おばちゃんとの出会い
「おばちゃん、ただいま。昨日のお客さんとこ、行ってきたで。」
「おかえり。どうだった?昨日のお客さんは?」
「気持ち良さそうに寝てたよ。うまくいったんちゃう。」
「そう。お疲れ様。」
おばちゃんは、僕のアパートの大家さんであり、巷では、人気の占師さん。
占いに興味の無かった僕は、近所の人から、おばちゃんの評判を聞いても・・・
イマイチ、よくわからなかった。
『人に占ってもらった通りに人生なんて動くわけがないだろう。』
『人生を切り開くのは、自分自身。』
占いに頼ってたら、言い訳を作ってるみたい。
そういう風に思っていた。
だけど、おばちゃんのお店には、おばちゃんの休む間がないくらい、次から次へと人が来る。
3年くらい前に、僕は回転性の目眩に突然襲われた。
1か月くらい体がフワフワしていて、仕事をしていても、突然、クラっと目の前の景色が横にずれて、元の位置に戻るってことが何回も起こる。
脳を調べても、異常なし。
首が痛くて、指がビリビリと痺れるような感覚になることもあったので、整形外科に行ってみた。
たまに行く整骨院の先生の奥さんが、首の強ばりが続くと脳に血流が廻りにくくなることもあると言っていたのを思い出したので。
すると頚椎ヘルニアが3ヵ所あった。
だけど、手が動かなくなるほど酷くないせいか、
《様子を見ましょう。手が動かなくなったら、手術になります。》
『この先生は、手術したいだけなんか?』
と思いながら、目眩のことを聞いてみると、
《目眩は、首とは関係ない。》
《目眩は耳鼻科が専門だから、全国でも有数の先生を紹介するよ》
と……。
紹介された耳鼻科にも行ってみたが、
《目眩は、診断が難しい。三半規管にある蝸牛管が浮腫んでいると思うから、水を1日1.5リットル飲んで。
水を飲んで、浮腫みを取ること》
と……。
『水飲んで、目眩治るんかい!』
と、心の中で、呟きながら、診察室を出た。
病院からの帰り、トボトボ肩を落としてアパートの前まで来ると、おばちゃんに呼び止められた。
おばちゃんが、
『元気がないなぁ』
と、聞いてきたので、今日まで色々な病院で、言われたことをもう勢いよく話してしまった。
これが、大家さんである占いのおばちゃんとの出会い。
この出合いから、普通では経験出来ないような不思議な出来事に巻き込まれる?
経験していくことになってしまった。
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