第45話 蛇口

古い蛇口を固く閉める。少しでも緩んでいると、雫が垂れる。私は一日に何度この蛇口を捻るだろう。光沢を失って、ただ鼠色に濁る真鍮の蛇口を。ふと振り向いてテーブルを見ると、洗い忘れたコップがあった。もう一度蛇口を捻って汚れをすすぐ。今度こそ全て洗い終わり、最後に蛇口を丁寧に拭き清めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る