第27話 暖冬

あたたかい冬だった。雪はなかなか降らなかった。綺麗な霜も滅多に降りなかった。こごえることもなかった。窓の外を見ると、真夏のようなぬるい雨が降ってきた。ガラスを濡らす雨粒は寂しかった。私は立ち上がってストーブの火を弱くした。庭の片隅には水仙の葉が伸びていた。つぼみが丸く覗いていた。

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