第15話 しだれ梅

空は乾いていた。僕はネックウォーマーに顔を埋めて家路を歩いていた。コートのポケットには飴玉が入っていた。手袋をはめた手で硬い飴玉を揉んでいると、冷たい風の中に、花の香りが漂ってきた。顔を上げると、曲がり角の家の庭に、満開のしだれ梅が垂れていた。モノクロの目に、赤桃色だけが残った。

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