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悪魔はその日美しい音色を耳にしました。
その正体はあの少年の奏でるヴィオロンの音でした。
静かな夜でした。
あとはそっと夜の優しい黒色に吸い込まれていきました。
悪魔の姿に気づいた少年は声をかけます。
「ねぇ…」
しかし、怖くなってしまった悪魔はまたしてもその場を立ち去ってしまうのでした。
ですが、それから毎晩少年の様子を見に行くのでした。次こそは気づかれないように。
しばらくは気づいても気づかないふりをしていた少年でしたがついに話しかけてみたのでした。
「こんばんは」
やっぱり驚いた悪魔でしたが、少し間を置いて少年に尋ねました。
「怖くないの」
「怖くなんてないよ」
「なんで怒らないの」
「怒らないよ」
「なんで泣かないの」
「泣かないよ」
「なんでありがとうって言ったの」
「君のおかげで幸せなことが分かるんだ。君が幸せを運んできたんだよ。ほら、見てごらん。星がこんなにも輝きを放てるのは空がこんなにも真っ暗だからなんだ」
今夜はたくさんの流れ星が青い惑星を流れてつたいました。
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