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その日は月が赤く光っていました。
今日は町外れにある少年の家を訪れました。
そして、いつもそうするように影を少年に授けました。
それから一週間後の夜、再び少年の家へ訪れました。
苦しんでいるのかと思いました。
泣いているのかと思いました。
どうしようもない空しさで、心ごと、体ごと、影に奪われているのかと思いました。
どれも違いました。
少年はとても穏やかな顔をしていました。
しかし、少年の影は確かにあります。
「ありがとう」
悪魔は驚きました。
でもそう言ったのです。
心臓のあたりがぎゅっとあたたかくなりました。
まるで大きな生き物が自分の中で呼吸をしているようでした。
何をどう返したらいいか分からず、その場を立ち去りました。
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