#008:存外だな!(あるいは、混沌辻=カードファイト/レリゴー)
「キミが……異世界から転生してきたという……『
テンプレなる物言いはお前だろ、とのつっこみは取りあえず保留し、俺はその野郎の出方を窺うに留めた。ご丁寧に自己紹介まで挟んでくれてきたが、発音が難しそうなので以下「
それよりも「渋い男前」だとぅッ? この、泣く子もえずくと称された、イキり時には「動の快楽殺人鬼」、平常時には「静のシリアルキラー」とまで言われるほどの、この負の
……なるほど。チーレムの扉が閉ざされていたというわけではなかったわけか……
つい「動」の顔つきになってしまって、くつくつと自然と笑い声が喉奥からこみ上げてしまうサマを、えええ……みたいな腐った溜息を放ちつつ横目で見てくる
―「
陶酔、酩酊、あと何かに彩られたかのような何とも表現できない
と、思わず視界を真正面へと戻すと、何か、待っててくれた感じの、目の前の長髪と真顔の目が合った。軽く頷き合ったのは錯覚かも知れねえが、とにかく進行を、との利害ががっちり嵌まった感覚があり、次の瞬間、また高笑いと共に展開が……始まった……
「私の『
待てまてまてまて。一文節に1ミリも理解の及ばない単語をこれでもかと無駄なく敷き詰めてくるのはやめろぉッ!! 日本語が
「くっ……
「いや……ていうか、これ何? 『カードバトル』なの?」
思わずそんな拍子も感情も抜け出た声でそう聞いてしまったのだが。
……それがいけなかった。
―そそそそうですぞこれこそがこの世界の理ッ!! 勝者が自らの持つ「ルール」を相手に承認させうることのできる、魂の殴り合いなのですぞコポぉぉッ!!
そんな、多分に興奮閾値振り切れ感漂う食い気味の声で鼻息荒くそう告げられた。うん……説明のようで説明になってねえ。英語を広東語に翻訳されたかのようだが。
だがその沈黙がさらなる説明の「待ち」と勘違いされてしまったようで、畳みかけるような「説明」が
「勝負は『三番勝負』にて先に『二番』取った者の勝ちとなる……ッ!! そのまず初っ端、『
【ルール1】
「天」は「地」に勝ち、「地」は「海」に勝ち、「海」は「天」に勝つ。
「二つ目、『
【ルール2】
「光レッド」は「光ブルー」に勝ち、「光ブルー」は「光グリーン」に勝ち、「光グリーン」は「光レッド」に勝つ。
同じく「闇マゼンタ」は「闇シアン」に勝ち、「闇シアン」は「闇イエロー」に勝ち、「闇イエロー」は「闇マゼンタ」に勝つ。
【ルール3】
「光レッド」は、「闇マゼンタ」および「闇イエロー」にも勝つ。「闇シアン」とは引き分けるものの、「闇黒レッド(R)」へと「スペクトルチェンジ」する。
「光ブルー」は、「闇シアン」および「闇マゼンタ」にも勝つ。「闇イエロー」とは引き分けるものの、「闇黒ブルー(B)」へと「スペクトルチェンジ」する
「光グリーン」は、「闇イエロー」および「闇シアン」にも勝つ。「闇マゼンタ」とは引き分けるものの、「闇黒グリーン(G)」へと「スペクトルチェンジ」する
【ルール4】
レア6種も基本は3すくみ。
「闇黒レッド」は「闇黒ブルー」に勝ち、「闇黒ブルー」は「闇黒グリーン」に勝ち、「闇黒グリーン」は「闇黒レッド」に勝つ。
「光白マゼンタ(M)」は「光白シアン(C)」に勝ち、「光白シアン」は「光白イエロー(Y)」に勝ち、「光白イエロー」は「光白マゼンタ」に勝つ。
【ルール5】
レア6種は「闇黒」が「光白」を凌駕する。
「闇黒レッド」は、「光白マゼンタ」および「光白イエロー」にも勝つ。「光白シアン」とは引き分けた上、「光ブルー」へと「スペクトルチェンジ」してしまう。
「闇黒ブルー」は、「光白シアン」および「光白マゼンタ」にも勝つ。「光白イエロー」とは引き分けた上、「光グリーン」へと「スペクトルチェンジ」してしまう。
「闇黒グリーン」は、「光白イエロー」および「光白シアン」にも勝つ。「光白マゼンタ」とは引き分けた上、「光レッド」へと「スペクトルチェンジ」してしまう。
【ルール6】
双方が「同一」の色だった時は引き分けとなるが、「光」に属する場合は「極光白ホワイト」、「闇」に属する場合は「極闇黒ブラック」へと「レジェンダルシフト」が起こる。
「レジェンド」は無敵。レアとコモン全てに勝つ。ただし「レジェンド」同士がかち合った際は、引き分けの上、コモンのいずれかにランダムで変化する。
【ルール7】
「『
以上ですにゃん♪ と軽く締められたが、ん長ぁぁぁぁぁぁぁぁあああいッ!!
特に「色」のところが不必要な複雑さな気がしてとめどないのだが。逆にシンプルに過ぎる感も無いが、もっと「属性」とか「数字」を見習えや。
いや……それより何より、俺には手持ちの「手札」とやらが、びた一枚無い……まさかさっきの福引補助券じみた奴がそれだったりすんのか? と思って再びポケットから引きずり出してみたが、それらはまごうこと無きぺらぺらの補助券だった。いやだとしたらどないすんねん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます