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プロローグ これまでの世界・これからの世界

　21世紀。神の生まれ変わりを経て2000年余りという科学技術の隆盛する現代において世界は、不可思議な小さな戦いを終えようとしていた。

　【魔王】と、二人の異能の男との戦い。

　魔王は強く、２対１の戦力差に対抗していた。異能の２人は、勝利のために一か八かの賭けに出なくてはいけなかった。

　賭けには勝利した。しかしその行為の副産物として、世界が割れた。

　この世界とは違う、並行世界や他次元世界の間を隔てる異次元の流れが、割れた先の風景だった。

　魔王や異能の２人は世界の裂け目に吸い込まれ、裂け目はじきに修復された。

　たったそれだけのことで、この事件を知る者は少ないはずだった。

　世界は変異した。

　ほんの少しの間、世界に異なる力が流れ込んでしまった。たったそれだけだったていうのに。

　【ギガントマキアー事変】と呼ばれるようになった事件を境に出生した子供の９割が異能力を開花させるようになった。

　それは同時に忌み嫌われる異能を持つ子供たちを増やすこととなり、社会問題となる。

　アナザーアビリティーアソシエーション、略してAAA、通称トリプルエーやトライエースと呼ばれる組織は異能を理解する複数の資産家によって作り出された異能力者互助組織である。この組織が、時経たずして出来上がったものの、国際組織としては弱かった。

　また同じく異能力者をすでに集めていた極東の学園もあった。

　AAAとの連携もあり、異能児童を手広く集め、一大学園都市藍明守を作り上げた。

　しかし、国家単位での異能児童を巡る問題は解決されず、世界各地で局地的紛争として発生していくこととなった。

　【事変】より約20年。根本的な問題解決に至らないまま、藍明守にてとある少年たちの物語は始まる。