06.格闘必殺技編
【まえがき】
アクション小説の極限はどこだ!?という素朴な疑問に対して、私なりに模索した結果をご紹介。
今回は『格闘ゲーム的必殺技』、回り込みのカメラ・ワークを意識します。よろしくお付き合いのほどを。
【本文】
白の道着に自然体。
黒の道着に剛の筋。
向き合う。眼と眼。意を据える。
両者が腰を軽く落とした。腕を上げる。軸足を引き、力を蓄え――、
黒が拳を――握る。締める。張る。気。緊。
弾けた――。
踏み込む。黒。間を潰す。
半瞬。白――が右斜め。低く、小さく、バネを溜め――。
なお黒。右へ。間を離す。
左へ。白。地を蹴る。回り――、
止まる。黒。身を低く――、
なお白。低く。大外、脚を出し、かけ――、
伸びた。黒。直線。貫手。剛。
反応。白。払――えない。力技。押し出す。己の身。
かすめた。白の、頬。貫手――を。
巻き込む。白。身を返す。腕を絡め、肩に負い、背で打ち上げ――、
軽い。危機感。手放した。地を蹴り、左前――の、その視界。
地へ降りる。黒――の横顔。笑み。凄み――から。
巡る。横から。黒の脚。先端。斬り払う。
退く白――の前。黒がなお回る。後ろから足。蹴りが飛ぶ。白がなお下がる。
向き合う。黒。地を蹴る。踏み込む。低く――から。
ぶち上がる。黒。蹴上げる。爪先。白が引――くは右半身。沈――む鼻先、黒の足。かすめた。過ぎる。高々と。
踏ん張る。白。引いた半身、落とした腰、たわめた膝と足の首――から爪先、足指、地を掴む。
なお黒。動く。重心。前へ。高く踵に――力。返す。落ちかかる。
白の眼に意。バネを解く。地に力。斜め前。落ちくる踵、その内へ――。
足が踏み上げ、膝が伸び上げ、脚が動きを取り戻す。腰をひねって身をよじり、肩を打ち上げ肘を乗せ、腕をねじって拳を黒の下腹――からみぞおちへ。
当てた。抉る。衝き込む。なお伸びる。総身に負荷。受け止めて白。打ち上げる――。
肉が軋んだ。骨身が強張る。反射。抵抗――が、挫け去る。
顔に驚愕。臓腑から息。苦悶。衝撃。抜け、通って、折れる――黒。
【あとがき】
この一編を、
九つ悟様
歌川ピロシキ様
お二方へ捧げます。
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