球技大会3

「わかってると思うけど一回戦敗退は許されないからな!」




 サッカーグラウンドで円陣を組んだ状態で、隼人が声を上げる。


「相手に部員はいるけどレギュラーじゃない。こっちも経験者はいるし、背の高い真はポストプレーに強い。絶対勝てる!」

「「「おおっ!」」」

「よしっ! 行くぞ!」

「「「おうっ!」」」


 盛り上げ上手な隼人らしい鼓舞だった。

 おかげでサッカーに参加したクラスメイトの目つきは自信に満ち溢れていた。


「ったく……サボれねえよなぁ、サッカーって」

「まあサボってたら外からは一発でバレるだろうな」

「はぁ……」

「諦めて活躍してくれ。苦手なわけじゃないだろ」

「苦手なわけじゃないだけだ……まあしゃあない。ボール来たらすぐお前にパスするからな」

「いや、そこは臨機応変に……」

「始まるぞ」


 なんだかんだ言いながらもそれなりにやる気になった暁人と一緒にポジションについた。


 まあ、せっかくなら楽しむとしよう。


 ◇


「流石だな……」

「結局俺たちのほうにほぼボール来なかったな」


 終わってみれば隼人と真の活躍で圧勝だった。

 十分ハーフの通常のサッカーの四分の一しか時間がない中で、隼人と真が二人ともハットトリックを決めるという相手が可愛そうになるほどの圧勝。しかも真の得点はすべて隼人のアシストだ。


「ありゃ、モテるわけだ」


 間近でこんなの見せられたらファンは増える一方だろう。

 その証拠にグラウンドの脇には女子生徒が集まって隼人に熱視線を送ってるしな。


「この調子だと結構勝ち進みそうだな」

「残念なことに、な。あーあーこれならやっぱドッジに行っときゃよかったよな」


 暁人が天を仰いでそう言うが……。


「それはどうかな……」

「ん?」


 男女混合ドッジボールチームには、有紀がいるからな……。

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