キャンプ④

 まなみに誘われるがまま、狭いテントに3人が身を寄せ合っておやつをつつく。


「楽しいねー! お姉ちゃん! 康にぃ!」

「そうね」

「そうだな」


 久しぶりのキャンプにまなみは1日テンションが高い。1人だけ移動中寝ていたのを差し引いても放っておいたら明日の朝まで平気でゲームに誘ってきそうな勢いだ。いや実際には突然力尽きて寝落ちるだろうけど。昔のことを考えると。


「あ、革命〜!」

「えっ!?」

「ふふふ。お姉ちゃんが強いカードばかり残してたのは知ってたのさー!」

「革命返し」

「えええええええぇええ! 康にぃ! ずるい!」

「ずるくないだろ。あがりだ!」

「むー!」

「あ、この順番なら私も上がりね」

「えええ!?」

「ふふ」


 まなみが負ければ次のゲームになる。逆に言えばここまでひたすらまなみに負け続けてきたということだ。運動もそうだがまなみは好きなものに関しては異様に強いからな……。


「むむっ! じゃあ次はこれです!」

「その前に、そろそろ寝る準備もしましょう」

「えー、寝るの?」

「まだ寝なくてもいいけど、まなみは突然スイッチが切れたように寝るでしょ」

「にゃははー」


 愛沙も同じことを考えていたらしい。

 本当についさっきまで騒いでたのに糸が切れたようにバタッと寝ることが結構あったのを覚えてる。流石にこの歳で……とも思ったが愛沙が言うならまだそのままなんだろう。


「これ、まなみの歯ブラシ」

「ありがとー!」

「タオルは持った?」

「はーい」


 普段の2人の様子が垣間見える気がした。ここ最近は俺にもこういう一面を見せてくれるようになったのはこう、なおさら家族感が強くなった気はする。


「康貴は準備できた?」

「あ、あぁ」


 あれから両親たちはテントから出てきた様子はない。あっちのテントは広いし快適そうだ。

 父親2人は朝早くから運転で疲れてるしな……。いや、うちの父親は楽しそうだったけど、まぁ眠いのは眠いだろう。


「じゃ、行きましょ」


 水場までは足場の悪い中そこそこの距離を歩く必要がある。懐中電灯を持って2人とテントをでた。


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