第18話 志村誠

こいつ何をやっているんだ?

何故ナビの履歴ばかり追っている。

山口が過去に行ったであろう病院にいこうとしているのか?

いやいやいや、効率が悪いだろう。


『大丈夫ですか?この辺土地勘あるんですか?』

たまらず声を掛けた。


中里からは『国道に出れば病院くらい。』との返答が返ってくるが、どう見ても山道を登っている。


前をほぼ見ていない。

ナビで何を探しているんだ?


まるで浮気の証拠を探す女みたいだぞ。


まさかあんた、そうなのか?


自分の妻が山口と不倫してると思ってるのか?


それはいい。それは好都合だ。一生山口を疑っててくれ。



織絵と不倫してるのは俺だ。



お前の嫁は最高だぞ。

俺とタメであの胸の張り。

やはり子供を産んでいない女は違う。


山口さん、悪いな。もうしばらく中里を引き付けていてくれ。


とその時山口の手が、俺の座る助手席の目の前、ドラレコのカメラに伸びた。

丁度カーブに差し掛かる時だ。


次の瞬間前方から対向車が来るのが見えた。

おい、ぶつかるぞ!おい!

『危ない!!』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る