ミニマムストーリー

大豆

第1話 山口晴樹

だから嫌だったんだ、ご近所付き合いなんて。


山口晴樹は痛む腹の底で独りごちた。


『大丈夫ですか?』

俺の家の真裏に住む中里家の主人、中里毅が声をかけてくる。

詳しい歳はしらないが恐らくは晴樹と同年代の37,8である。



 何も大丈夫ではない。今にも吐きそうだ、上からも下からも。

俺はだらしなくレジャーシートの上に蹲っている。


何に「あたった」のだろう。

肉は俺が今朝スーパーで調達したものだし

、野菜は傷んでいたようには見えない。 


バチでも当たったか?


『やっぱり病院いきましょうか?ねえ?』

と中里。

『自分運転しますから、ね?』


余計な事を。

先ほどから繰り返されるその申し出を心底呪った。

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