【さかみち】

さかみちは嫌い


足が重い

自転車のペダルを漕ぐのはもっと辛い


何より息が苦しい


だけど

駆け上がった先に

バラバラになった呼吸を無理に押し込めて


ふわりと軽くなる瞬間がいい


沢山の重しを背負ったような日

何時間も囚われた気持ちを引きずったままでいるとき

何かがきっかけでふと

全部どうでもいいやと思う


あの瞬間に似ている。



結局、さかみちは上っている方がいい


何度も同じフレーズを繰り返して歌うように

地道にパンチを繰り出していくボクサーのように

時間通りきちんと昇る太陽のように


コツコツと踏み出していく感触を


教えてくれるから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る