♮269:四光ですけど(あるいは、同窓/メグリアズィオーネ)
御名乗りに終始する時空間は、この会場を、そしてその場にいる者たちを等しく巻き込むようにして渦巻き続けている……
「青の波濤……
葉風院の騎馬は、実況少女たちで固められているという、そんな寸法なのですな!! との懐かしさと、少しの痛みも有しているといった、そんな僕のこの場ではどうでもいい感傷がよぎるけれども。
猫田さん……五年前よりもさらに美しく、そして蠱惑的になりましたな……二重の切れ長の瞳は健在。その視線は心なしかかなり離れた場所にいる僕に向けられている気もしないでもなかったけど、多分錯覚だろう。本日は今しがたの桜田さんとお揃いの、白×青のタイトなブラトップに膝下までのスパッツ。おなかの辺りには性懲りも無くまた半円形の白いポケットのようなものが素肌にじかで貼り付けられているけど、うぅんアレ何だろう……
「黄の震動っ、
そしてやっぱり居てくれた。セイナさん。黒髪のおかっぱはこれまた健在。五年経ったにも関わらず、相変わらず合法と違法のはざまくらいに位置するかのような絶妙な
この四人か……!! 布陣は葉風院氏が上、桜田氏(赤)が前、猫田氏(青)が左後ろ、セイナ氏(黄)が右後ろみたい。結構大柄なヒトが騎乗するみたいだけど、後ろのふたり、支えるの大丈夫かなあ……
いや、これはただの騎馬戦じゃない、はずだ。ならば上に乗る者の「DEP力」……それも重視されるのではないだろうか……
とか、考えてもどうしようもない(ほんとだよ)ことに思考を回していた僕の肩に、ぽんという軽い衝撃が。ええっ、と思って振り向いた先には、
「……あ」
思わず言葉を失ってしまう。そこにいたのは白×紫のコスチュームに身を包んだ、僕の大事たる女性……サエさんが素の顔のまま立っていたわけであって。な、なぜここにッ!?
「やっぱり気になって見に来た。ら、やっぱりの混沌。で、
なんか落ち着いてて逆に怖い……でも非常に心強い……でも危険なこの場所にいさせるのはやっぱりまずいんじゃ……
「ムロトしっかりして。目標が、目的が……あるはずでしょ? そのために最善を尽くす。それが私の知ってるムロト。それに『ダメ』をいいように利用しようとしているアイツ……ちょっと頭に来てるとこもあるし」
その落ち着きが、僕に力を吹き込んでくれたかのようで。でも、根底に流れてるのは静かなる怒りのようであって、やあ怖ろしいですなあ自分に向けられたものでなくて本当によかった……との思いが先走りするように僕の脳を埋め尽くすばかりでもあって。
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