#135:天性で候(あるいは、コンパーチブル/載寧/サイネージ)
「わそーふぁにばうぴーせらばあんだすたーんでぃぃぃぃぃぃぃんぐっ!!」
姫様の撃ち放ち「DEP」が、哀れなる輩たちを撃墜していく。
「……」
冒頭の意味のわからぬ断末魔を上げつつも、幾分かの愉悦を湛えたかのようなそれら輩の表情、そしてずるずると中空を滑り落ちていく様を、上下逆さまになった態勢のまま、私はただ視認している。
いま現在搭乗しているこの「機体」に姫様と乗り込んだ時も、その常軌を逸した態勢に一抹の狂気らしきものを感じていたが、視界を覆われた瞬間に開けたこの大空を舞うが如き「景色」には度肝を抜かれた。
まるで現実であるかのように、仮想なる空間を呈してくる装置……これが
しかして、それに勝るほどの脅威をお見せになられたのは、他ならぬ、仰臥した私の上に跨るかのように鎮座ましましている姫様に他ならぬわけであってからに。
先の「予選第一戦」でもその恐怖の片鱗を垣間見せた、「
さらに、たまたま近くを通過していた者どもにもその破壊力の高きDEPは伝播するように拡散していき、それらの者たちの平常心を揺さぶりに揺さぶった挙句、姫様を爆心地と仮定すると半径15mほどの球状の範囲が、衝撃に包まれたのであった……
<No.11689:70,899ナジー>
我々の「残りエネルギー」とやらが、何人かの輩を屠ったことによりかなり加算されたことを、この目の前を覆いし「バイザー」とやらに表示された文字列にて把握する。
「1km」が「約60ヘモルタ」であるからして、ゴールに至るまでの距離……残る「70km」は「4200」。体感ではあるが、ちょうどいまの「残高」にて走破、いや、疾駆出来うる計算と相成る。
最強を誇る姫様のDEPではあるが、残弾が「四発」であるという点のみが懸念であろう。今のように、多勢を巻き込んでいくやり方にて、節約して「先」を目指すというのが、さきほどギナオア殿に言われた「戦法」ではあるのだが。
そもそも私が姫様の代わりにDEPで斬り込んでゆけばよいものの。「お前は温存だ」と言われては、返す言葉も無い。しかしきっと姫様は分かっておられる。私ごときのDEPなど、通用しないことを。負けたら後の無い戦い……それは当然なる戦略と思われるものの、ふがいなさを身に沁みて感じ入る他にできることがないことが何とももどかしい。
そんな詮無い思考に身を委ねていた時だった。
「あ~はっはっはっは、ああ~はっはっはっは」
多分にわざとらしさを含んだ高笑いが、耳に仕込んだイヤホンより響き渡る。まずい……「エネルギー」の多寡が増えれば増えるほど、それを狙う輩も増える。無難に逃げ切ること……そのような考えは甘かったというわけか。私は歯噛みを堪えながら、「声」の響いてきた方角へと仰向けの顔を傾けていく。
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